運営はザコ!
謎の性能上昇から大まかに1時間ぐらい経った。その間に行った戦闘の記録などを前提として現在【狂化】に何が起きているかが推測ながら判明した為、まずはじめに結論を述べさせてもらう。
運営くん……また調整ミスしちゃったねぇええええええ〜〜〜〜ッ!!!^^^^^^
ギャハハハハ─────ッ!バッカでぇ〜〜ッ!!こんな雑な調整なんかで俺くんをどうこうできると思っちゃったのかな!?かな!?かなかなァ〜〜〜!?
はいっ!おじさん解説しちゃいます!
おそらくですが今回の調整によって【狂化】は原点回帰的な調整が行われました!
まず普通に考えての話なんですけども、これまでの仕様って【狂化】という『知性・理性を失って暴走強化する』能力的におかしかったですよね。
だって使い続けると逆に頭が良くなって武器を普通以上に使えるようになっちゃうんですもん!それは流石におかしい!
だから今回の調整によってシステムは変更され、その機能は失われる事になりました。
ですが削ったまま終わりというのは話がおかしい。なにしろそれは【狂化】に特化したステータスを構築したプレイヤーにしか存在しない【狂化】現状唯一の利点。
自動操縦で強力なステータスを指定した武器で的確に振るえる、その利点を削った上でそれを補い、かつ【狂化】らしい新要素を搭載する……その難題に立ち向かった結果、追加されたのは─────。
『自動操縦状態の獲得経験値量に応じた全ステータス・五感機能の強化』であった。
なるほど、調整の意図は理解出来る。
【狂化】の発動時間向上に不可欠な低い知能値は現実、何処まででも下げれるものではないからだ。
ステータスには素の場合-9999という下限値が存在し、それを強化する技能を踏まえても、上限が現時点で確認されていない+のステータスと比べ強くなる限界が明確にある。
起動して彼らはこの調整を『ゲームバランスを設定的矛盾なく整えた素晴らしい調整だ!』と考えてゲーム内に実装した事だろう。
だが────甘いなぁ……!
あぁ甘い、甘すぎるッ!
そのように粗雑な調整を加える位ならば、無駄に手を加えなければ良かったっ!そう断言が出来る程に甘いぞ運営ィ!!
もしかして疲れていたんじゃあないか!?
ちゃんと休みを取らずに、丸一日ぶっ通しでゲームバランスの調整をしてたんじゃないのかっ!?
そうでなければこんな凡ミスはしない筈だッ!
同じタイミングで実装された新技能を見逃すなんてそんな事をッ!!
『特別権限:技能交換を利用しますか?
※残り 2つ(【武芸百般】【大剣技術】) YES/NO』
当然YESッ!この特別権限によって獲得できるのは一部のレア技能を除いた基本的な技能、アバターデザイン時に選択できる物+αの中から選択が出来る……!
俺がこの百を超える技能の中から今選び取るのは─────コイツだァッ!!
『【圧縮経験】:発動後5分間獲得する経験値を+(+−を除く知能値)%(1/24h)』
ね、すっごい馬鹿でしょ?なんでこれ見逃すかねって思わん?俺5分間9999%だよ。日に1回ならええかって思ったのかな?普通に駄目だと思いますけどね。
でもわかるんですよ、これ実装された理由も……低レベルだと魔法は威力微妙で介護必須ってモリ言ってたからさ……実際リオちゃんとかブランの全力介護受けてるし……
だから序盤の手助けとして追加せざるを得なかったんだよな……!わかる、わかるぜ……!
でもだったらなんで+−外す事にした……!?
一部の俺みたいなプレイヤーがこれの効果受けれないのを嫌ったか……!?だとしても一番外しちゃダメなヤツ外してますよ……!?
しかし感謝っ!ライアー感謝ッ!圧倒的感謝ッ!!調整班の馬鹿どものおかげで俺の成長バカクソ捗りまくりで草ですッ!!
ほぉら見てください、すごいでしょ〜〜っ!もうゴリッゴリですよゴリッゴリ!!
もうさっきまで力任せなだけで上手く扱えてなかった大剣が一度振り下ろすだけでス───────ッと刃が敵を両断ンンンンッ!!
うおおおおおお圧倒的パワーの前に剣の側が反逆を諦め服従しているかのようだァッ!!やはり力ッ!!力は全てを解決するッ!!
力こそが富であり名声であり力ッ!!つまるは力こそがこの世の全てッ!!力こそが正義なのですッ!!
「馬鹿な調整しくさりやがって、無駄に手間かかったぜこんちくしょうッ!!」
これで減少した力には目処がついた、もう実質勝ったと言って過言ではないだろう!
しかしまだだ、まだ終わらんっ!まだ終わってはいないッ!この強化も敵が沢山いなければ意味がないからな、あくまでもモンスター用の補いに過ぎんのよッ!
次に欲しいのは対人間用の力………ッ!!
何故か俺はこのゲーム内で多数のヘイトを買ってるからなぁ、平時はいつ後ろから襲われてもおかしくないぐらいだ。なんなら今日だけで数回実際に襲われてるし。
クフフッ、おんなじように管理の手をすり抜けて実装されてる技能を探そうか、別の手段を狙うか悩むねぇ〜〜〜〜っ!!
しかしまずはおめでとう、ハッピーバースデイ新たなる俺ッ!ここより【狂化】と俺が刻む新たなる歴史の扉は開かれたッ!!
「っしゃあ────ッ!まずは景気づけにこの上位ダンジョン丸ごとブッ壊してやるぜェ〜〜〜〜ッ!!」
目前にワラワラと溢れかえる腐肉共の海へ【狂化】くんは駆け抜ける!
いまだかつてない好調、剥き出しとなった本能のままに大剣を振り回す姿は形を取った暴虐そのものッ!群がる全てを撫で切り潰し皆殺しッ!!
これだよこれぇ!大衆が求めていた物はぁ〜〜!!やっぱこれだよなぁ〜〜っ!!
ゾンビ殺せば殺すほど【狂化】の内包する熱量は増加し、肉体の躍動はさらなる洗練とキレを見せつける!
おいおいおいおい!まだ2分も経ってねぇってのにコイツじゃあやっぱ完全に失敗だったな運営さんよぉおおおおおおおおおお─────ッ!!!
「俺たちの戦いは、これからだあああああああああ──────────ッッ!!!!」
いつの間にやら湧き出た巨人のゾンビ、通常ダンジョンのボスだった物の劣化版と思しきそれらを【狂化】は一刀のもとに切り捨てるッ!!
それによりまた増大する熱量!完全な永久機関と化したその姿、誉れ高いと言う他無い……!
フッ……それならばもう、後の全てを待たせて問題ないな。少し寂しいような、嬉しいような……まるでいもしない息子を観ているようだよ。
「さて、なんの映画を観ようかな……」
俺は映るゲームの視界から目を外し、しばらく起動を止めていた配信アプリを開くのだった。
任せたぜ、【狂化】くん……!
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