グレンくんすごい!
「でもまぁ無難な調整でよかったっしょ」
「まぁ〜〜?確かに嫌な運営だと初撃で使い物になんないぐらいのナーフ決めてくる事あるかんなぁ〜〜」
こんな時間から鍛冶キメてるらしいオッサンを待ちつつ、オキ・モリと会話。確かにそういうレベルの調整じゃなかったのはマシ中のマシマシ調整麺硬めではあるよなぁ、ダントツだったのに。
ちな2位とは結局トリプルスコア余裕でしたね、集めすぎちゃったかな!かなっ!?
「ってか他の技能の調整とかってなんかあったの?教えてクレメンス〜」
「そんぐらい調べろトッププレイヤー」
「上位層プレイヤーの自覚ないんか〜?」
「はいはい異議ありッ!!俺が上位層である理由は俺のプレイングスキルによる物ではなく技能、ひいては【狂化】のAI制御・自動操縦状態によって行われる戦闘行動であり、正しく表現するのであればトップとして立っているのは【狂化】、俺自身はその補佐をする役割である為トッププレイヤーという表現には語弊があるように思いますっ!!」
「補佐ならより情報集めるべきだろアホ」
「論破だぁ〜〜〜〜っ!これはバサラ厳しいッ!!この場面どう乗り越えるのかッ!?」
「これ以上俺の心が傷つけられるのは見たくないわ、サレンダーよ」
畜生…ッ!この俺が、この俺がッ!コイツらは程度矮小で凡百、愚かで愚鈍ッ!!そして────大切な友達風情にレスバトルで大敗を喫するだとオオオオオオオッ!?
しゃあなし、切り替えてこ。次の試合に響くのが一番駄目だから、うん。すぐに結果出せなくても気にしないのが大切でしょ。
↑こういうこと言ってくるヤツが一番嫌いだったり普通に仲良かったりする。つまり現世に何かを一斉に分けるような貴賤は存在しない。
「お、あったわ。技能の調整内容まとめ。えーっとなになにぃ〜?
【能力強化】の持続時間が減って強化倍率ちょいアップ、【切断】の斬撃能力強化の倍率が減って強化倍率アップ、【龍血の癒し】の回復量が減少、【精霊の癒し】の魔力回復が減少……言ってもわかんねぇか。
まぁ大概は汎用的な技能に調整が入ってんな、誰が持ってても有用なやつ。
わかりやすく特定プレイヤーの暴走止めようとしてるような調整はお前の【狂化】だけだな」
これはあからさまだねェ〜!明らかに俺を狙い撃ちした規制ッ!!何故なら俺以外に【狂化】を使ってるようなプレイヤーを見たことがないからッ!!
人生を注がないと舞台にすら立てない世界だからね…人生捧げた人間がいるのわかってるのに規制っ!?これが人間のやることかッ!?コミュ抜けるわッ!!
「はぁ〜?これって企業ぐるみの集団イジメじゃないですかねぇ〜?」
「お前以外無難なヤツしかいなかったんだよ自重しろ」
「君は馬鹿だなぁカス」
「人の名言引用しないと罵倒の言葉すら口にできない人間がこの俺に言を発するなッ!消えろ、カスッ!!」
「アンタたち朝から元気ねェ〜それじゃあ目醒めのディープキッスから始めようかしらァッ!!」
「まずい怪獣が咆哮を上げた逃げるぞッ!!」
「諦めな、ここは絶望しか入ってないタイプのパンドラの箱さ」
「それってただのゴミ箱なんじゃないんですか?」
「あぁ!勿論じゃないかマイケル!腐ったハンバーガーを出すファストフード店みたいにクソったれの店さ!」
「テメェ洋画見たことないだろ!俺もだよっ!」
なおこの後オッサンはグレンくんに足浮きチョークスリーパー喰らいながら出てきたので俺達は無事に済んだとさっ!ハッピーッ!ラッキーッ!!
▽▽▽▽
さてさてさーて、そんなこんなでようやく集合予定のメンバーが全員集合したわけなのだが〜?
「なんで俺の体をグレンくんがスリスリ触ってるんですか?怖いんですけど?」
「お前恐怖心とか残ってたんだ」
「馬鹿め、恐怖心は人間において重要な感情の内1つッ!
痛覚があったとしても恐怖心がなければ死に直結しうる怪我という現象に対して行うべき拒絶を行えずにそのまま死ぬッ!!
そんな馬鹿みたいな死に方はしたくないから俺はまだ恐怖心を切り捨てていないのでしたッ!!為になるねぇ〜っ!」
「1億へぇでいいか」
「雑じゃん対応があっ!」
「流石にバサラも泣きそうねぇ〜」
バッ、違ッ!な、泣いてねぇしっ!俺泣いてねぇしぃ〜っ!
というか本当に何なのぉ…?普段から無口な子が急にアグレッシブに攻めてくるのって実は普通に怖いんですね初めて知りました…
これまで隠れ美少女系陰キャ女子が急に距離詰めてくるタイプのラブコメに「なぜこの主人公は陰キャが頑張って接近してるのにまるで理解できないのだろうか?ありえんが?いやぁ〜僕だったら絶対ないがしろにはせんのになぁ〜!とりま飲みいこ!この前いいワイン買ったんだよね!飲みながら話聞きたいわ!」って思ってたけど普通に主人公の内心では突然の詰め具合に恐怖が勝ってたからなんだね、ようやく理解出来たよ。俺ってラブコメ主人公だったんだな…!
「…うん、ちゃんと設定したデータが問題なく反映されてますネ。よかったデス」
これから出会うであろう幼馴染系ふんわり女子、ツンデレ系お嬢様、ボーイッシュスポーツ女子、年上おっとりお姉さん、妹系後輩女子に思いを馳せていると、グレンくんがようやく呟いた。
「ん、なんか確認終わった感じ?」
「はい、ボクが鎧に食わせたデータ通りに鎧が進化してるのか、確認してまシタ」
「あーなるほどね、この新デザインもグレンくんのだったのね?」
なんだかんだとあり説明できてなかった気がするが、俺の鎧はあの……えー……風鈴?の装備破壊を伴った攻撃によって一度破壊されて、直後に固有技能で進化して俺も復活したりなんかした。これはまぁみりゃわかるね!
そんでここから言い忘れなんだが、その進化の際にデザインが大幅に変更されていたのであるッ!たぁいへんデッケェ言い忘れですねビックリしすぎてチョコになっちゃったッ!!
ちな変更の内容は鎧自体の色合いは変わらず、形状が西洋騎士の甲冑的なデザインからどこか近未来的な全身装備に変わった感じ。
…なんか説明上手くないな、まぁ簡単に言うと流線形状混じりのスタイリッシュパワードスーツ、仮面ライダー的なアレみたいになってるのです。これでいいか!ヨシっ!
「あらぁ?グレン言ってなかったの〜?」
「バサラさんがこういうの秘密にして欲しいタイプなのは察せたノデ、隠しておきまシタ」
「お、事実じゃんバレてんぞバサラ」
「多感な時期の中高生精神のままオッサンになってるからなバサラ」
「コラッ!事実だとしても人の事オッサンって言うなッ!!お前らもオッサンって事だからなッ!?」
「アアアアアアアアアアアアッ!!」
「俺の負けだ…殺してくれ…」
「人の事オッサンって呼んでるアホ共が自滅してるの滑稽ねぇ〜〜っ!」
「……騒がしイ」
ありゃ、グレンくんの頭痛が痛そうだ。抑えまーす。
まぁそんな鬼カッコよ〜な鎧くんのデザインまでもを彼が設計していたとは、流石だぁ…!
オッサンの鍛冶技術の代償として与えられたありえんトんだデザイン能力を補う役割とは聞いていたが、ちゃんと相応の能力で声出るねぇ〜!
「動きとかにも支障はないぞ、いいデザインをありがとうなグレンくん!」
「…はい、それならよかったデス。せっかくデザインした甲斐がありまシタ」
「にしてもこの鎧趣味全開よねぇ〜、アタシというかプレイヤーの成形法じゃ作れないデザインになってるもの」
「AIの出力というものの限界が気になりましテ、デザインだけ終えていたものを食べさせたらこの通りデス。これからもデザインだけAIでやれればいいんデスけどネ」
そしてやはりというかオッサンとは仲良さげッ!俺への無難対応っぷりからは程遠い流暢な長文会話が行われているぅ〜!
でもグレンくんが楽しそうならOKですッ!
逆百合の間に挟まる男が殺される確率も不明だしね、仕方ないね。
「唐突な会話相手NTRにSAN値チェックです」
「100d100の減少でよろ〜」
「馬鹿めッ!【狂化】主力使ってるようなやつが永久発狂じゃない訳ないだろッ!?俺の勝ちだッ!!」
「オッサン!グレン!そろそろ新要素の確認したいんだけどぉ〜!」
「あらぁそうだったわねぇ〜、じゃあアタシはアッチに混ざるけどグレンはどうするぅ?」
「……じゃあ、せっかくデスし、参加しマス」
俺の反応を無視しオッサンとグレンくんをこちら側へ呼び戻すとは、流石はモリ……
俺がスーパーウルトラアルティメット大活躍しすぎて忘れてたけど、一応このゲーム内でもわりかし上位の実力を持った魔法使いなだけはあるといった所か。
さぁそして今、遂に…ッ!ようやく封じられた伝説の情報────アップデートにより追加された新要素が、俺達の前に姿を見せるッ!
刮目して見るがいい、そして慄け、畏れよ、叫べッ!!その瞳孔を開き焼き付けるのだ────ッ!!
「あ、ウィンドウだしまーす」
「「「はーい」」」
既に使ってるタイトルとほぼ同じタイトルだったので修正しました。
誤字報告感謝です!
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