私は最強ッ!
※今日は2022年の4月10日です。
────瞬間、胸を真紅の槍が穿ち抜く。
隕石が突いたかのような衝撃は、穿たれた鎧を貫くに飽き足らず全体にまでその破壊を伝達させて、鎧の全てを破壊し尽くす。
「おげぁっ!!ほら〜っ!!無理だったァ〜ッ!!!無理だったよォ〜〜っ↑↑↑↑↑↑痛いねぇ痛いねぇHPガリガリ減ってるねェーーッ!!」
チクショオオオオオオオオオオ─────ッ!!なんだよ!?これまでなんやかんやピンチになったらご都合パワー的なあれで【狂化】かませばなんとかなって来たじゃんよォ〜ッ!?なんでここに来て裏切るんだよ馬鹿ぁ!!
もう……もうアタシ知らないッ!!ずっと思ってたの、アンタとアタシは合ってないんじゃないかって、それが確信に変わったわ!!もう二度と、アタシの前に姿を見せないで【狂────
『【虚神骸・混沌】が破壊されました』
『【虚神骸・混沌】の固有技能が発動します』
『【体躯結合】が発動しました』
『装備者:バサラが破壊されます』
『※破壊効果発動中、プレイヤーはダメージ判定を受けません』
『【自己進化】が発動しました』
『【虚神骸・混沌】を進化します』
『【体躯結合】が発動しました』
『装備者:バサラを進化します』
『実行に必要となる経験値が不足しています』
『事態への対応を確認中』
『確認完了が完了しました』
『特例処置として未来から経験値を借用』
『装備者:バサラに−経験値を付与します』
『【自己進化】の効果が適応されました』
『【虚神骸・混沌】は【不神躯・中庸】に進化されました』
『進化に伴い、固有技能【固有捕食】を追加しました』
『進化に伴い、固有技能【虚空踏覇】を追加しました』
『進化に伴い、固有技能【呪詛耐性】を【呪詛吸収強化】に進化しました』
『進化に伴い、固有技能【魔力放出】を【推進力発生】に進化しました』
『進化に伴い、固有技能【身体結合】を【完全融合】に進化しました』
『進化に伴い、固有技能【自己進化】を【超自己進化】に進化しました』
『【固有捕食】:自身が認識した固有技能を記録する』
『【呪詛吸収強化】:【呪詛】の効果を無効にし、保管する。保管した【呪詛】を記録にある固有技能に変換し、この鎧を含めた装備に与える。与えられた装備はこの鎧の装備者にしか使用できなくなる』
『【推進力発生】:推進力を発生させ加速する』
『【完全融合】:この装備は完全に装備者と同一となり、装備を対象とする効果の影響を受けない』
『【超自己進化】:この装備はプレイヤーとともに進化する』
『装備者:バサラの種族は【狂人】から【狂神(未)】へ進化されました』
『装備者:バサラの職業は【狂戦士】から【狂騎士】へ進化されました』
『職業の進化に伴い、新たに技能【狂王の器】を習得しました』
『【狂王の器】:狂気に囚われた者の極北、その道標』
『装備者:バサラの技能【狂化】にオプション技能を追加しました』
『新たに技能【狂気伝染】を習得しました』
『新たに技能【狂気増幅】を習得しました』
『新たに技能【狂気洗練】を習得しました』
『新たに技能【狂天動知】を習得しました』
『【狂気伝染】:付近のプレイヤーに【狂気】を付与し続ける(1%/m)』
『※【狂気】:バッドステータスの一種。効果はスキルの使用不全、身体の暴走など』
『【狂気増幅】:【狂化】の性能を50%上昇(他の強化効果を先に計算する)』
『【狂気洗練】:自動操縦時、攻撃対象を選択できる』
『【狂天動知】:【狂化】発動時、自身の知力を+100%し、自分の知力が低ければ低い程【狂化】の性能を上昇させる(日に一度)』
『進化に伴い、技能【自我干渉】を【自我介入】に進化しました』
『【自我介入】:自動操縦中に技能を発動できる』
『新たに技能【狂化体躯】を習得しました』
『【狂化体躯】:【狂化】時・耐久値・体力値・筋力値を+30%、自己回復能力を+70%、自己再生状態を付与する(【狂化】発動中永続)』
「ユニコオオオオオオオオオオオオオンッ!!!来ました来ました勝ちましたッ!!
やっぱなァ〜!!やっぱこのゲームで最高の技能及び戦闘方式は【狂化】特化なんですわァ!!使わないやつは雑魚ッ!!
これ証拠の動画もあります。これですね、狂化特化狂人おじさんってプレイヤーがロイとかいう知らんプレイヤー嬲り殺しにした動画つまり俺の動画ァ俺最強ォ!!
ちなみにこの理論はロイの実力が不明な上感覚的には雑魚であるため成立しないのですがうるせェ〜〜〜〜!!知らねェ〜〜〜〜!!FINAL FANTASYッ!!」
それは窮地からの転換の口上と言うにはあまりにも長すぎた。暑苦しく、うるさく、そして大雑把すぎた。それはもはや1つの話のくだりだった。
さてとォ〜?早速今しがた手に入れた技能を使っちゃおっかなっ!?かなっ!?
「なっ、一瞬拡散した筈の身体が─────」
「技能【自我介入】、技能【狂天動知】ッ!」
オラッ!!ステータス倍化ッ!!はぁ〜〜〜ッ!!何も状況がわかってない相手の前で新しい技能かますの気持ちぇ〜〜〜ッ!!
「【狂化】くんも初体験に大興奮のご様子っ!これまでに見たことのない画面の揺れを見せつけながら想定外の事態に防御体勢すら取れてないリンフウくんに凄まじい連撃を叩き込んでおりますッ!
その回数なんと秒間126連打ァ!!強すぎィッ!!」
「ガッ───そんっ───!テメェいい加げッハァ!?」
うわぁ、痛そう……;;かわいそう……;;
でもコイツ俺の友達殺してっから慈悲ァいらねぇよなァ〜〜ッ!!ヴゥウンッ!!
「というかキャラ崩壊してて草ですねぇ〜っ!
でもキャラは変形合体を繰り返すものだから……ッ!きっといつかは暗黒崩壊キャラクリムゾン・ノヴァになれるよきっと……ッ!!
がんばれ〜!僕は頑張っている人を応援していますっ!今度は正攻法で上位プレイヤーの座につこうね!」
「ぐゥ、技能ッ!!【戦神の守護】ォ!!」
ぬおっと、COMBOかまして気持ちよくなってたらようわからん光障壁生えて来たな?卑怯ですねぇ~〜!引きこもり陰キャ戦法反対ッ!!引きこもられると俺が攻撃力できないからッ!!
それに俺にそういう守備系技能が存在しないからッ!!ズルいッ!!
「ふ、ふぅうう……クソ、クソがぁ……ふぅ……フッ、やられたよ……ッ!
まさか眼中にもなかった君がこの技能を使わせるとはねェ……驚かされたよ、全くゥ……ふぅうう……ッ!」
おうおう取り繕おうとするけどまるで出来てない姿が無様だねぇ〜?とっととくたばってくれないだろうか?
「技能【狂気洗練】を発動するぜッ!これにより俺は、攻撃力対象をリンフウ!お前に一時限定することができるッ!!カンコーンッ!!☆
まぁこのままだと結局千日手になるんだけどね……どうやったら終わるんだこの結界……?」
……ん?ちと待て、そういやさっきなんかあったよな?えっとなになにぃ〜?
「僕は優しいッ!もう一度説明を聞く機会を君に与えるッ!いいかよく聞けッ!?
今回のイベント、その重要アイテムである【ロイヤルジュエル】は世界ッ!種族ッ!生命ッ!
その全てが同様に有するはずの成長ッ!進化エネルギーが結晶化し、1つの形を伴って現出した物だッ!
プレイヤーからすれば凝固した経験値とも言えるッ!!」
確か【固有捕食】だったかぁ〜?記録って書いてあるってことは……お!やっぱりぃ〜!
予想通り【戦神の守護】の効果等々が記録されてんねぇ〜!!普通戦闘中に確認できない以外めっちゃ強いぞぉ〜ッ!!
「何故ッ!?
何故そのエネルギーは結晶してしまったのかッ!!
行き場を失ったからかッ!?否ッ!生命は未だ大地に存在するッ!!
用途がないからッ!?否ッ!この世界は未だ繁栄の余地を多く残しているッ!!
答えは1つッ!この世界そのものが死を迎えつつあるからだッ!!
死にゆく大地が、その可能性を後世ッ!
遙か未来の生命へとつなぐため、高密度の進化エネルギーを生物に与えやすいよう結晶にして現出させたのだッ!!
自身の残り少ない、僅かな寿命を削ってだッ!!」
えーっとぉ……なるほど、魔力系結界技能ねぇ?
発動条件はなし、そもそもそんなのあるんだね……んで効果は『発動5分前から発動までのあいだに自身の受けたダメージ×100のダメージまでを受け止める魔力防壁を発動者を中心にドーム状で出現させる』と。
ん〜〜つまりこれは【突き刺す剣】の特攻ですねェ〜~ッ!!
【突き刺す剣】はこの【固有捕食】によると『魔力を有する物質の絶対貫通能力を発動、その後魔力の流入及び逆流による内部からの爆発破壊』らしいよ。
対象の魔力が多いと爆発威力が高すぎて自分も被弾するから注意だねって書けよッ!!危ないだろッ!?
まぁ慣れてるからいいけどね!!ダメージ回復もすごい速くなったし大概実質無傷ッ!!!
「そうして与えられたエネルギーが、そんじょそこらの経験値と同程度の価値しか持たないと思うか!?
僕は思わないッ!!きっとこの結晶は、僕達のレベルを上げるのみにとどまらず種族すらもより上位へと高めてくれるだろうッ!!
だから僕は、なるべく多くの結晶を集めたいッ!!
今僕の手元には196の【ロイヤルジュエル】が存在する!!分散させた回収部隊の分も集めれば300は裕に超えるだろうッ!!」
よっしゃあ解決法みつけちゃっちゃッ!!
粉微塵にして牛乳で解いて卵とグラニュー糖、膨らし粉を混ぜてから白玉粉を追加し、バターとメープルシロップをかけてホットケーキにしてやるぜボケナスビィ〜〜〜ッ!!
「さて、そこで君達に提案だ……僕と組まないか?
仮に僕と組んだなら、そうだな……君たちに50は渡そう。破格の提案だ、なにせ6分の1だからね。
活躍によってはそれ以上もありうる……いい契約だと思わないかい?
さぁ、提案への回答は─────」
「────死になクソバカッ!!技能【自我介入】技能【突き刺す剣】───────ッ!!」
絶対の安全圏の余裕からか微笑みながら手を伸ばしたリンフウに対し、俺はフルンティングによる技能の一撃で答えるッ!!
答えは沈黙ッ!!沈黙するのはお前ェ〜ッ!!
「んなッ、バカ──────ッ!!!」
「引きこもりなんてしないでかかってこいッ!!俺は無職の自宅警備ガチ勢だぞぅ!?お前に有利なフィールドで戦ってやるよォッ!!」
逆流する魔力の爆光渦ッ!!結界の崩壊とともに肌を焼く熱量が俺とリンフウの全身を包み込み、爆風が荒れ狂うッ!!
されど【狂化】は止まらない。流れに逆らうように地面を蹴りつけ、狙った生命を感じる方角へ駆け抜ける。
「……もう、マジで許さんからなこのクソ狂人がァああああああッ!!!」
「ハハハ〜ッ!なかなかのガッツ!そこは認めれるけど死にやがれェッ!!」
しかし上級者たるリンフウはその程度の事では揺らがない。顔を怒りで紅潮させながらも真紅の槍を掴んで構え、不意を付く【狂化】の一撃を防いで迎撃。
ここからは本当に本気って感じだねぇ〜、こっちにゃもう隠し玉はねぇが絶対に落とし前つけてやんぜェ───────ッ!!
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