かくれんぼします!
─────小娘に襲われてから更に2日が経ったァッ!早いッ!早すぎるッ!!
いやすまないねぇ〜!確かに側から見ればカットのし過ぎ感は否めないだろうし、俺自身も「尺は?」と心配でドキが胸胸だ。
まぁ動画撮影してないんですけどね、初見さんッ!!
しようと思ってたけど、なんやかんや忘れちゃってたんだよね〜ッ!いやぁ参ったッ!!
こういうイベント事って視聴率良さげだし、動画上げたら伸びそうなんですけどねぇ〜!
でも上げても逆に伸びなさそうなんだよな、うちの視聴者血に飢えてるから。
この前お散歩Vlog的な動画出したら「死人はどこですか?」とか最初から最悪を想定して来た救急隊員みたいなコメントが複数来て…俺は、びっくりした!
現代人はみんな殺戮衝動を内心に抱えて生きてるからなぁ〜それを俺が代替してかましてくれる動画を期待してくれてるのだろうなッ!!
となれば俺的にはなにも問題ないし、折角ならイベント内で動画撮ろうかなぁ〜ぐらいには考えていたりいなかったりですわ!
さてさて、段々と話す内容が無くなって来ましたねッ!それじゃそろそろ現状のお話しましょっかァ〜ッ!!
私達は、今─────────ッ!
「逃がすなあああああああああッ!!」
「ぶち殺せええええええええッ!!」
「今何色のパンツ履いてるのおおおおおおおッ!!」
「いやあああああああ─────っ!!」
「あっ!追い剥ぎのおっさんたちリオちゃん泣かせたッ!」
「いけないんだ〜っ!運営に言いつけちゃうゾッ!」
「ぽまいらのせいで後ろ見えねぇッ!」
「【簡易生成鉄小刀】はいオキちゃんこれ追加ねっ!」
「なんでこの人達こんな状況でふざけてられるんだ…ッ!?」
街からちょっと離れた山の麓で、知らんおっさんPK軍団に襲われていま─────すっ!!
なんかことあるごとに襲われてる気がするけど何なんだよマジでッ!!ボケがッ!!
▽▽▽▽
「ど、どうにか巻けましたね…」
「ちょうどよく曲がり角があったのと、オッサンの土属性魔法の練度のおかげだなッ!サンガツッ!!」
「今は8月やで」
「は?9月だが?」
「6月で草」
「今月の大殺戮祭り開催のお知らせか?」
「ま、まだ敵いますし静かに…!」
山の中に【横穴】で穴を作り、入口を【整地】の魔法で塞いだ即席隠れ家!
魔法できれいに掘られているだけあってか、それだけでもなかなかに居心地がいい空洞の中を【灯光】で照らされると、中々に少年心をくすぐる感じの風情を感じるなッ!
さて、そんな空洞の中で俺たち4人に途中で偶然遭遇したブランとリオを加えた、なんか見慣れた6人組は息を潜める。潜めてるかこれ?
まぁとりあえず隠れてるっ!ヨシッ!
「必ずまだ近くにいるはずだっ!探せェ!」
「いま都側に向うヤツらだ、少ないだろうが【ロイヤルジュエル】を持ってるはずだッ!殺さなきゃ分前なしだぞォ!!」
「殺気立ってんねぇ〜!殺し返そうかなッ!?」
「いやぁ〜多勢に無勢だろ、【狂化】使えりゃ別だけど」
「そろそろ【狂化】くんに群れること教えないとだな」
「生まれつき独り立ちしてたものねぇ〜」
「本来なら退化なのでは…?」
「…??」
付近をすぎる気配に震えつつ、コソコソと会話を続ける。襲われた程度で俺の発言の自由は奪わせないッ!死ぬまで戦うぞ俺はッ!!
「というか本当に良かったんですか?俺たちまでパーティになんて…」
「ブラン気にしてたんだよねぇ〜自分のせいで迷惑かけちゃった〜って!」
「ちょ、リオ…っ!」
「あら〜そんな理由で来なかったのねぇ〜!」
「子供がそんなこと気にしなくていいのになぁ〜?」
目を左右へふわふわと泳がせながら、反応を伺うような様子を漂わせるブラン。
多分ゲームに入り浸ってるタイプの子なんだろうなぁ〜妙に「迷惑かける」云々に神経質だっ!
俺が同年代の時はクラスメイトと授業妨害しない程度で授業中も遊んでたぞ〜?
そういう図々しさが必要だと思いますね俺はッ!
現代人にはそういう精神が足りないッ!!
でも説教垂れるの面倒なのでとりあえず肯定する方向で────ッ!!
「実質ガキが言ってるから気にすることないぞ」
「ウチで一番ガキに近いやつが言うなら間違いないな」
「壊れたお店はロールバックでなおったから実害あったのはバサラちゃんだけ、その上で彼が小学生の喧嘩ぐらいにしか考えてないから気にしなくていいわよッ!」
「この前仲直りしたし気にする必要ねぇぞッ!だけど俺をガキ扱いしたお前らは潰すぞッ!!」
「悲しみの神・ピエヌス」
「え〜認めてんだからいいじゃん!」
「馬鹿お前、本人がネタにしてるからって周りもネタにしていいのと駄目なのがあるんだぞッ!?
ちなみに俺は前者ですッ!!」
「んッ!こっちだァ〜ッ!!こっちから声がしたぞォ〜ッ!!」
「お、見つかったな」
「冷静に言うのやめてくれます?」
「戦闘準備─────ッ!!」
「ブオオオオオ〜〜ッ!!」
「敵襲──ッ!敵襲──ッ!!カンカンカンッ!!」
ふざけてたら遂に雑に隠れたのがバレちゃったぞ!
まぁ見つかったからにはごまかすのも面倒なので徹底抗戦じゃオラッ!ハメ殺すぞ〜ッ!!
「オキは【毒針射出】を準備、オッサンは奥行き広げてから入口当たりに落とし穴作ろうか!
そんでモリは飛び込んで来ると同時に【閃光】をかませッ!!」
「エグエグのイースターじゃん」
「鬼畜の生誕祭了解!」
「え、えっと僕達は…」
「お前は寝てろ!学生は寝るのも仕事だぞっ!」
「ここだぁッ!ここだけ土に草が生えてねぇッ!」
「よっしゃ剣で技能ぶち込んでやる、離れてやがれ…ッ!」
「出来たわよっ!」
「よっしゃ!モリが決めてからオキだ、いいなッ!」
「悪魔の所業了解ッ!」
衝撃音と共に、僅かに隠れ家へ光が射し込む。
おっしゃあ〜っ!追い込んだと思ったバカ共に一泡吹かせちゃうぞっ!!
バキバキと壁が崩れる中、俺は頬を釣り上げて「くわ〜っ!一本取られたッ!」と叫びながら死ぬおっさんの姿を夢想するっ!
そして瞬間、壁の完全崩落と同時────ッ!!
「【閃光】ッ!」
「ぐぅあっ!?」
「技能【毒針射出】ゥ!」
「う、うそおおおお〜っ!?」
突撃と足元の狂い、落下と毒針の貫通っ!
驚愕の絶叫と共におっさんは塵と化して消えるのだった─────ッ!!
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