戦いのゴング!
「【光盾】ッ!」
「しゃあなし一撃ぐらい受けたるかぁ〜!」と構えるが、目前に現れた光の盾によってその剣閃は防がれた。
そういやコイツらしゃべるだけじゃなくて戦えるんだったわ、あいがと〜!がんばえ〜っ!
「技能【毒針投擲】…おいおいなんだよ、急に襲うとか失礼じゃないか?」
「いやッ!俺たち的にも指示されただけなんで【炎矢雨】ッ!」
モリが光の盾によって俺を守ったのと同時、オキもお得意の【毒針投擲】により後方のルーと呼ばれた魔法使いを攻撃する。
流石に距離もあって回避され、直後に唱えられた魔法によって炎の雨が降り注い───でんじゃねぇわッ!危ねェだろッ!!
「はい【穴】【整地】っと、危ないわねぇ〜」
危ないわねぇ〜じゃないが?
助かったけどナチュラルに穴落とさないでよ、ジェットコースター苦手なタイプなんですよ僕ぅ…
…お?落ちたら急に動けるようになった!
よっしゃとりま出ちゃおっ!
どんどんと響く衝撃音が止む────
「技能【突き刺す剣】ッ!」
その瞬間、天井に大剣の切っ先を向け貫通ッ!
魔力の奔流による爆発と同時に壁を蹴り飛び出す!
瓦礫は鎧で受けたのでダメージゼロですッ!!
鎧ってすごいな、これまで強行突破したら全身ボロボロになってたのにミリも減ってねェぜッ!
ちなみに無駄に至近距離だったから馬鹿みたいに大爆発起きたよ〜!!ティラノの3分の1くらいッ!
「きゃあッ!?」
「ロールっ、【空気緩衝】ッ!」
敵味方問わず爆風で何人か崖から落とせると思ったんだが、一人か…チッ!全員目ざとく衝撃に構えやがって!
僕なら吹き飛ばされた自信ありますッ!!
「くっそ〜あの小娘マジ許さんからなァ!?」
「小娘言うなや、あと脱出手荒すぎな」
「地面から切っ先生えて秒で構えなきゃ俺吹き飛んでたと思うんですけど」
「はぁ〜??構えないでもらっていいですかぁ!?」
「もぉ、面白がってる場合じゃなさそうよ〜?」
オッサン、こんなナリだし口調オカマなのに真面目に戦況見極めてるみたいですねェ〜!えらいっ!
それに対して真面目そうな格好したモリくんはさぁ…見た目から入る人?
でも足引っ張らんよう隠れるのには利用します、モリごめんな…!壁になってくれ…!
あとオキどこ…!たぶんなんか技能かなんか使ってるんだろうが声聞こえるのに姿見えん…ッ!面白そうだから今度教えて…ッ!!
まぁそんなことを考えつつ…なにもやること無くて暇なので、ワシをなんかで止めてくれちゃった少女が飛ばされた方向を見てみる。
まぁこの前地下に落ちたときに抜群のクッション性を見せてくれた魔法と同じものを使ってくれたようなので、多分生きてるだろうが…
生きてたなら俺がトドメを刺すッ!
濡れ衣まで被せて殺しに来るとかマジ許せんからなァ〜…!
磔刑にして炭火の遠赤外線効果を用いて中までジューシーに焼いてやる、覚悟しろッ!!
ちなみに火の番はなれてるオッサンに任せます…!
「ってて…ありがとルー」
「全く、気をつけて下さいよ…」
舞っていた砂塵の霧が晴れはじめ視界が開ける。
前方崖付近では予想通りというか、爆風に耐えきれず吹き飛んだはずのロールという少女が空気の膜的ななにかに包まれた状態で浮いていた。
あれって効果してるときあー見えるんだ…
なんか…キショいなッ!このイベントキショいのばっかだッ!!あれイベントの産物じゃないけどッ!!
「眼はどうっすか?」
「とりあえず…大丈夫、まだ気にしなくていい」
「なんか眼気にしてるっぽいけど砂でも入ったんかな、バッチぃから洗ってきた方がいいよッ!」
「いつも飲水の方の蛇口で洗っては目ェ潰してたわ」
「雑菌の文字通り流入と眼圧向上による緑内障リスクのダブルパンチ来たな…」
「良い子はせめて普通の水道の方にしましょうねぇ」
「ってか【魔眼】使うロールってなんか聞いたことないか?」
「あ〜βテストの時に聞いたかも…?」
「戦闘とか避けてたから知らないわねぇ〜」
「βテストの時は社畜してたぞッ!!」
「『時は』なの闇深いわね?」
HAHAHAHAッ!この世の理不尽煮詰めたみたいな感じでクビになって今は立派なニートだよッ!!
でも多分来週ぐらいには広告収益の申請通って動画投稿者やら配信者やらにジョブチェンジさッ!!
会社は君たちみたいに純情で騙しやすくて換えの効く新社会人を求めているよ─────ッ!!
「あ、思い出した!魔眼のロール、β時の裏掲示板で付いてた手配金は200万メダで中の中ぐらい。
別段戦闘能力や運動神経・反射神経に優れているわけじゃないが応用性の高い複数の魔眼を使用するが、対処法は簡単で視界から外れたり遮ったりすると効果はなくなる。
βテスト終わってからは賞金なくなるぐらい何もしてなかったからやめたと思ってたが…」
「友達とゲーム遊んでた訳だ」
「あなた達とほぼ変わらないわねぇ」
「裏掲示板とか知らんワード出てきて頭沸騰しそうなんだけど」
俺が会社事を浮かべているとなにか思い出したらしいオキがポンと手を叩き、吹き飛ばされたロールという少女について話しだした。
ゲーム内での仕事とかだとしてもそんなにいちいち覚えているものなのか…つよつよ記憶力。
とりあえずわからなかった事に疑問符をぶつける俺だが二人はそれに答える事なく武器を構え直して、目前の二人を睨みつけている。俺の質問に答えろォッ!オッサンがどうなってもいいのかァ!?
「ま、流石にモンスターよか強そうだし俺等に任せろ」
「まともに戦うとか3億年ぶりかもしれん」
「オッサン、暗殺者がなんか言ってるぜ!」
「暗殺者も近接する時代なのねぇ」
…なんか張り詰めてるというか、殺意マシマシ感あるな?怖いねぇ〜!多分今関わってもろくな事にならんし後で話聞こっと!
そんなわけで、オッサンが「わたしたちは隠れて見ましょうねぇ」と作った土壁の後方に隠れた所、ちょうど同じタイミングで晴れつつあった砂塵が完全に晴れる。
「技能【崩壊の魔眼】─────ッ!」
直後に飛んでくる魔眼による攻撃ッ!
バキバキと崩れ始める地面の音は戦いの始まり、鳴り響くゴングと化した─────ッ!!
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夜は遅れる呪いになったかもです




