異常達との邂逅
「ひゃあ〜〜っ流石の絶景ねっ!」
5時間にのぼる登山の末、辿り着いた山頂より覗く絶景にアタシはふと大声を上げた!
青々とした葉に満ちた草木!
それに隠された木々の幹!
枝葉を分けて作った巣から飛び立つ鳥たち!
そしてその奥に築かれた廃都市と城ッ!
まさにファンタジーっ!現代日本では決して味わえない洋と自然の融合!
ゲームならではの美しい景色、一人で見るなんて勿体ないわ〜っ!
「みんなもさっさと来なさいよ〜!綺麗よっ!」
というわけで早速登山仲間を呼び寄せるように声を張り上げるが────
「む、無理っす…疲れました…」
「魔力切れた…モンスター強すぎぃ…」
「も〜情けないわねぇっ!男なんだからシャキっとしなさいよッ!」
「ロールさんがモンスター全部押し付けたんでしょう…ッ!」
死屍累々、死に体の様相。流石のアタシも一瞬ギョッとしたが…まぁ欠員出てないなら別にいっかっ!
むしろ魔力切れただけで済んだなら御の字よね〜!
「あたし死んじゃったらあの街からやり直しじゃないの!ようやく手に入れた【ロイヤルジュエル】ゲットのチャンスなのに、つまらない事で時間取ってられないのよっ!」
「たしかに0から登山やり直しはキツイですけど、にしても戦闘の支援ぐらいはしてくださいよッ!」
「嫌よ面倒くさいっ!」
「ルー、俺コイツ殴りたくなってきた…!」
「ちょ駄目だってエス!腹立つのは事実だけど、ここまで来たからにはより慎重にならないと…!
ロールもだよ!謝れとは言わないけど、せめて相手が嫌がりそうな事は…」
「嫌よっ!アタシ嘘吐くのも吐かれるのもキライなのッ!聞かれたことには本音で返すわッ!」
はぁ〜全くぅ!ほんとうちの男たちったら神経細いんだからっ!いちいち気とか使ってられないってゆーのっ!
背後からルーの「もおおおッ!なんでロールはいつも〜ッ!」エスの「くぅ〜ッ!でも我慢っ!辛抱だっ!」というような声を受けつつ、アタシは街の正面門がよく見える奥まった場所でステータスを開くっ!
そしてアイテムボックス続けて開き、最近入手した順に変更!そして最上部に現れた巻き物状のアイテムを選択し────
「よいしょ〜っ宝の地図っ!早速方角を丁度に合わせて〜!」
「ちょ、ここ山頂ッ!」
「山谷風的に地図敷いて方角合わせるとか無理でしょバカぁ〜!」
む、バカって言った今ッ!?
フンッ!いつもなら顔面に拳入れてる所だけど今は気分がいいから許してあげるわっ!
苦節3日…長かった…!
初日の夜、転送された森で「これは好機よ!」と手分けして【ロイヤルジュエル】を探し4つものジュエルを獲得したというのに、それを妬んだプレイヤーかなにかに奪われ0個に逆戻り…!
リスポーンした古城で夜を明かそうとしたのに、ゴースト系のモンスターまみれで眠るどころか休む時間もなく城内・街内を駆け回された…!
しかしその夜には雪辱を果たし、古城の宝物庫に隠されたこの【宝の地図】というアイテムを奪取!
より強力になって襲いかかるゴースト達を退け、アタシたちは遂にこの3日目の昼!
宝が隠された山に辿り着いたのよ〜ッ!
「ふんふふ〜んっ!『地図によると…街の正面門から線をまっすぐ引いた山の頂上にある巨大樹の元。私の宝は永久に眠る』ッ!
さてさてその巨大樹はどこかしら〜っ?」
「はぁ全く…あれじゃないっすか?」
「お!見るからに巨大ねぇ〜やるじゃないルー!」
「一目見りゃわかるでしょ…」
アタシの問いにルーは謎の呆れ顔で背後に立った木を指さす!確かに巨大樹ってかんじねぇ〜40mぐらいあるかしらっ!
でもまぁそんなのは関係ないわねっ!早速宝を掘り出しちゃいましょ────
「お、山頂だ〜っ!景色エグいなッ!」
「ゲーム内なだけあってあんま疲れなかったな」
「それわたしに同じこと言える〜?」
「途中背負ったじゃん」
────突如、山頂の広場に聞き慣れない声が響いた。
「すわっ何者!?」と振り向けば、そこにいたのは紳士服・黒色ロングコート・血濡れの鎧・妖精っぽい服をそれぞれまとった、ちぐはぐな…異様・異常の権化とすら言える男達。
あまりにも突然な事にアタシは判断が遅れ…
「…あら、先客さんっすか?」
【宝の地図】を仕舞うよりも早く、相手に自分たちの存在に気づかれてしまったのだった…!
や、ヤバい…ッ!見られたかもお〜〜ッ!!
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2000ptありがとうございます!初めての経験で少し現実味が薄いですが本当に嬉しいですッ!
ですが投稿時間は不定になります、マジですみませんッ!!




