消し飛べティラノッ!
「…よし今の内に行くぞッ!」
「いや待って無理だ───そっち跳べッ!」
───衝突、轟音ッ!
岩石の壁に叩きつけられ、バキバキとすら聞こえる破壊音と共に部分崩落が発生する。
とはいえ【狂化】くんはダメージに関心は無いので岩々を掻き分けて飛び出したッ!
しかしこれまた【狂化】くんは一番近くの生体反応に襲いかかる性質があるので、オキに飛びかかろうとしたが───
「Gyaoooooooo────ッ!!」
ティラノが叫び声にも似た咆哮と共に突進して来た事で一番近い生体反応がそちらに切り替わり、再びそちらに飛びかかった!
危ねェなァ〜!?弾き飛ばされた先にボケっと居るんじゃねぇよなぁ全くッ!!
せっかくタイミング作ってんだからさっさと逃げろボケッ!
「なんか理不尽にキレられた気がする…」
「変な事言ってる暇ねぇだろ行くぞ!」
「とりあえず何個かジュエル回収してね…!」
卑しい奴らめさっさと行けやッ!?
ちゃんと倒せりゃ全部持ってくから〜ッ!!
───ティラノが短い腕から斬撃を放ち、ソレを大剣で受け止めるッ!
今度は地面だから受けきれたなッ!!
外見こそなんかちょっとかわいい攻撃だが、先程宙で受けた時に吹き飛ばされた辺り超強力!
モロに喰らえば大ダメージ必至だろう!!
手短いから予備動作少ないのもまともに戦ってたら腹立つだろうなぁ〜!まぁ【狂化】くんは自動で受け止めるんですけどねっ!
とはいえ受けた止めた分の威力は消滅するわけじゃないので逃げる先、つまり地面は間接的に破壊威力を喰らう事となり────直後、地面に亀裂が走ったッ!
「うおおっ!?そろそろヤバい行くぞッ!」
「足挟まって逃げれんとかありえんからなっ!」
「じゃあねバサラちゃん、頑張ってッ!!」
バキバキと音を立てて砕ける地面ッ!
凄まじい破壊音に驚愕の声を上げると同時に【ロイヤルジュエル】を大量に抱えた3人は全速力で走り出し、今度こそ地上へ続く階段へと消えていった。
おお〜指示に従ってて偉いねェ〜!
今度からはもっと早く行動しようねェーッ!!
「Guoooooooッ!!」
などと言っていたら尻尾がバチィンと叩き込まれたッ!
危ねェ!【狂化】くんが即座に飛び込み的な回避とかいう謎器用回避をしてなけりゃまたぶっ飛ばされる所だったぜッ!
というわけで吹き飛ばしそびれた【狂化】くんが君に襲いかかっちゃうよ〜ッ!!
再びの跳躍───ッ!
先程飛び上がった時に爪からの斬撃を叩き込まれた事を学習したのか、今度は天井に張り付きそこから再度蹴りにより加速を行う事で吹き飛ばし技を被弾しうる空中で停止した時間を解消!
それに加え、これまでの落下時の重力加速と衝撃による単純で速度の無く読みやすい攻撃を、それに自力加速を加えた回避し難い超高速の一撃へと変化させた───ッ!!
いやぁ〜ラーニングが毎回リセットされちゃうの勿体ない成長ですねェ!まぁ【狂化】って無理矢理野生に帰るようなものだし、仕方無いと思いますけどもッ!
そんな感じで響く金属の衝突音ッ!!
硬ッッッッたいですねェ〜ッ!仮にも鉄塊ぐらいの重量ある大剣の刃が生物とぶつかったはずなんですけど表面に傷がついた程度ですぅ〜ッ!どんな鱗してんだマジで?
とはいえ衝撃は内部に伝わったようで、脳天に一撃を叩き込まれたティラノは即座に反撃を行う事無く地面に向かう。
流石に転びこそはしなかったものの平衡感覚は失ったようで、ヨロヨロと姿勢制御が効いていない様子。
【狂化】というのは名ばかりというかなんというか、野性的な意味で理知的な【狂化】くんは当然その隙を逃さないッ!
支点力点作用点的に大剣と脳天の接点を利用し、ティラノの首に移動。揺れる首の上でブレる事無く立ち、大剣を振り下ろすように構ると─────直後、爆発したような暴風が吹き乱れるッ!!
それは魔法でも技能でもなんでもなく、ただただ連続して行われる大剣を用いた連続攻撃ッ!
通常大剣の振り抜きには重量とサイズに相応した溜め時間が必要になるが、【狂化】くんは圧倒的な筋力値をフルに活用し秒間最大で40回弱の連続攻撃が可能ッ!!
AIにより効率化された攻撃動作がなければ仮にステータス同値のプレイヤーであっても秒間10回程度が精々であるため、【自動操縦状態】の規格外ぶりが伺えるだろう──────ッ!!
いずれは某映画の〜ってこの前も言ったヤツじゃねぇかッ!他のは無いのかッ!?無いんですッ!!
どうしても秒間最大系のネタが、思い浮かばなないんです…ッ!!
「Gaaaaaaaaaaaaa─────ッ!!」
おっとォ〜!凄まじい連続ダメージに耐えきれず絶叫と共に悶え始めましたねぇ〜!
流石にこれには振り落とされそうになる【狂化】くんですが、連続攻撃で脆くなった首元に切っ先打ち込んで耐えますッ!端的にエグいッ!
あ、でもせっかくだし気になってた事試してみよ〜!
「技能【自我干渉】、技能【突き刺す剣】────ッ!!」
既に突き刺さった状態での【突き刺す剣】発動ッ!
説明によると相手に近い状態で発動するほど破壊威力が上がるそうだが果たし────ッ!?
技能の名を叫んだその1秒後、かつて切っ先から3メートル程上空でロイに向け発動した時とすら比べ物にならない圧倒的光量の魔力が傷口から迸るッ!
しかしそれはまだ前座、その剣に満ちた超高密度の魔力は更に圧縮されより高密度な破壊光を、超爆発的魔力を生み出し─────解き放たれたッ!!
瞬間、内部から超高熱の魔力爆発に焼かれたティラノの体躯はその水分を一気に蒸発された事で中規模の水蒸気爆発を発生ッ!
ティラノの爆裂と同時に、俺の体は背後まで一瞬で吹き飛ばされる事となった───ッ!!
くぅ〜!流石に割とHP持ってかれたなァ〜!
でもまぁ一撃で超大型モンスターを屠る超威力の代償にとしては安い方か…安い方か?
まぁ安い方だと思おうそうしようッ!
ってなわけでティラノ倒したぞ〜っ!
それじゃあ早速モリ達殺しに行くとしますか!鬼ごっこしてる間は映画でも見よっかな…ってあら?なんか【狂化】くんが動かんが…
「Gy…a…o…」
うわっ!吹き飛んだティラノの肉片が再び集まって元の形に戻ろうとしているッ!?
このスピードならあと1分もすれば全身が治るッ!まさかこのティラノ、複数回倒さなければならないとでも言うのか───ッ!?
まぁ察してましたけどね〜ッ!!
流石に大型のボスモンスターが第2形態やら無しはありえないもんねぇ…
【狂化】くんがモリ達に向かわない辺り肉片状態でも生体反応は残っているようだが、襲っていないという事は肉片状態ではHPは無いらしいな。
「Gya…o…」
肉片すり潰して再生の阻害とかは出来るかもだが、【狂化】くんは殺す事以外考えてないので殺せない肉片は流石に襲わないので待つしかないかぁ〜
というか肉片再結集の予想できる完成形結構小さくなってるな?
ん〜、モロにダメージ受けた復元前の部分は死んでしまうみたいなあれか?それなら【突き刺す剣】でもっかい…ってめちゃくちゃ魔力減ってる〜ッ!?
いやまぁそうか…そもそも短時間で2回使ってるわけだし、さっきの大爆発もあるしでそもそもさして多くもないのにそこまで減ってないはあり得んか…
まぁ使えないならそれはしゃあねぇ!別に最近まで使えなかった訳だし何も問題無いんだわッ!!
「Gyaooooooooooo───────ッ!!」
────復活の雄叫びを上げるティラノッ!
同時に斬撃を放ってくるが【狂化】くんはそれを見切って回避し、勢いのままに斬りかかるッ!!
こっからは技能も使わない泥試合じゃオラッ!別に友達殺したくないからなるべく丁度いいぐらいのタイミングで復活打ち止めになって死んでくれ────ッ!!
なお、このあと5時間ぐらいしてティラノは死んだので、4時間友達と鬼ごっこやったとさ!
めでたしめでたしッ!!
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