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考察してみよっか!

「小型と大型、簡単に分けて二種のモンスターがここにいるみたいだな」


 大型モンスターを討伐した後、モリは一旦情報をまとめようということで焚き火を起こし、道の端で会議を始めた。

 よくよく考えてみると俺は【夜目】があるから落下後は普通に暗闇の中でも動けるがこいつらは持っているのだろうか?



「デザインは様々だけどねぇ、あとデザインの元ネタっぽい恐竜のサイズ感は考慮してないみたい」

「羊サイズのトリケラトプスとかいたもんな」

「そんでもってそれぞれ攻撃は強力だが防御は貧弱と」

「箇条書きだと雑魚感あるなッ!」

「実際雑魚ではあるだろ」

「コイツモンスターと素で戦ってねぇから感覚腐ってんだよ」

「事実で刺すの止めてもらえます〜??」


 くっそ〜、せっかくだし程度の気分でパーティなんて組むもんじゃねぇなァ〜!唯一の長所丸潰れでお荷物だよ全くゥ!


 まぁなあれだから、他プレイヤーへの?ハンデ的な?いやぁ〜!俺が全力で狩りに集中しちゃうとみんなイベントで大敗しちゃうからさッ!


 最終日とかまで温存しといて、みんなが【ロイヤルジュエル】溜め込んだタイミングで殺して回せば、途中までは優位になれて君たちハッピー!


 最終的にジュエル沢山で僕たちハッピーで優しい世界が誕生するって寸法よッ!これは天才の所業〜っ!脳みそぐしゃぐしゃにしたアルミホイル見たくなってますわぁ…!



「だが雑魚な割に大型は【ロイヤルジュエル】を1個確定で落とす重要モンスターだ。

上に戻らないと安全性に欠けるが、なるべく沢山倒しておきたい」

「でもランダムスポーンっぽくて見つけづらいんだよなぁ〜」


 自己弁護を思考内で行う内にも情報の考察は進む。


 コイツらは真の効率厨だからなぁ〜!

 俺の効率は正確に言って時間の有効活用とかの話だが、こいつらは目標達成に向けて時間を最大限有効に使う真の効率おじさんだッ!!


 いや、タイムマネジメント的なアレなのか…?

 俺は大雑把にやってたし上からも大雑把な情報しか来なかったからわからないよ…!


 というか耳傾けて見ればなんかおかしな事言ってるな?口出してやろ〜っ!



「先生〜!ランダムスポーンじゃないと思いまーすっ!」

「ほぉゲーム初心者、その心は?」

「運営も流石に【ロイヤルジュエル】の数は決めてると思うからですッ!じゃないと探索の意味なくなると思いますッ!」

「素晴らしい指摘だアズカバンに10点ッ!」

「ふざけてる割に目の付け所いいの謎ね」


 それは俺がIQ5垓の超天才だからっすねと言ったら無視された、悲しい…;;

 まぁそれはともかく、イベント内で入手できる最大得点は流石に運営くん決めてるだろって話だ。


 例えば洞窟に隠された【ロイヤルジュエル】が定期的に復活して無限回収出来るとすれば、プレイヤーの実力や努力に関係なくある程度のポイントは取れちゃう事になるわけだが、これは多分炎上する。


 誠実に沢山のダンジョンを攻略して20個集めたプレイヤーがいたのに、そうやって定期的に回収するだけで25個回収できてそいつらに負けたならそりゃ腹も立つって事だ。


 運営くんも「【狂化】強すぎナーフしろ」って炎上したばっかりなのに、また自分の調整ミスで燃えたらたまったもんじゃないはず。

 なので、まともに脳が働いているなら多分そこら辺は対策しているだろう。


 これは超天才頭脳が大回転しちゃいましたねぇ〜!

 いまの状態ならミレニアム懸賞問題全部解けそうな気がする…!スポーツ選手で言う所のゾーンに入ってる気がするんだ…!



「でも大型モンスターが【ロイヤルジュエル】持ってるのは確定だぞ?ランダムスポーンじゃないとして、別にボスでも統率役でもない一般モンスターが【ロイヤルジュエル】持ってるのはどういう事だよ」

「まずもって俺に聞くなって話だが…まぁ推測は出来る」

「おっマジか、適当こいてたら殴るからな」

「急に理知的すぎて耳がキーンってなってるわ…」


 俺の究極脳が叩き出した考察に詰めてきたモリに「そこまで考える必要あるぅ〜?」と内心呟きながら、状況から見える予想で疑問に答える。



「多分『大型モンスターが希少種』とかじゃなくて、『モンスターが【ロイヤルジュエル】持ってるとデカくなる』んだと思うね」

「…ほほう?」

「なるほどわからん」

「立場逆転したわね」


 おやおや、わかりやすく簡略化したというのにわからないようですねぇ〜!

 先程まで俺をバカだなんだと面白がってた君たちはどこに行ったのかな!?かなッ!?



「理論が逆って話だよ。説明ムズイが…そうだな、アストが【ロイヤルジュエル】持ってるプレイヤー殺せば奪えるって言ってただろ?

アレ、モンスターに倒されたら奪われないならちょっとズルくないか?」

「???」

「疑問符しか浮かばないねぇ…」

「ん〜…つまり『モンスターに殺されちゃえばジュエル奪われずに無料リスポーンできる!』っていうのは虫が良すぎるって話ぃ?」

「そうそう、両方とも他殺って死の要因は変わらないのに片方だけペナルティ無しはありえないって事」


 極論というかなんというかだが、別プレイヤーに襲われて「もう死ぬ〜」ってタイミングでモンスターに食われりゃ、マイナス無しで逃げおおせれるってワ○ップが成立するのは対人ゲー的にクソすぎると思う。


 いつものマジック&ブレイド・オンラインなら襲う側だけマイナスになるってのは自業自得だが、今回のイベントは対人を割と推奨している。

 だというのに襲われた側だけに確定で逃げれる手段があって、襲う側に救済が一切無いのはおかしいって事だ。



「ので、モンスターが【ロイヤルジュエル】を拾得できる場合は拾得でき、そのモンスターは持っている事がわかりやすいように大きくなるって寸法よ!」

「おーなるほど、たしかに筋通ってる」

「学生時代のお前は死んだかと思ったがそうでもなかったみたいだな…」

「でもそうなると、なんで他のプレイヤーが入った痕跡も無いのにモンスターは【ロイヤルジュエル】持ってた訳ぇ?」

「筋通ってねぇじゃん」

「やはり社畜化で脳が死んでいたか…」


 一瞬褒めたと思ったら即座に手の平返しやがった!

 マジでコイツら一回マジビンタしようかな?


 でもまぁオッサンのはいい質問だ、話をすぐ鵜呑みにしてない辺り流石にオッサンだな。

 この情報社会でちゃんと咀嚼を忘れないオッサンは偉いよ…すげぇよオッサン…俺も見習わないとな〜


 だがその別に答えは簡単だ。

 というか既に出した話から俺の予想は導き出せるくらいには極々単純でわかりやすいので、もう簡潔に言ってしまおう。



「多分どっかの部屋に【ロイヤルジュエル】がめっちゃ仕舞ってある。

モンスターは稀にその部屋でジュエル丸呑みで獲得して巨大化してるんだろうな」

「「「っ!」」」


 ふふふ〜!一気に宝探し感が強くなってきたなっ!

 一時間経ってもまだまだ奥の奥やらまで調べられてない広大な大迷宮っ!そこに隠された宝を探すとかめっちゃ楽しそうだなッ!


 俺が予想を口にしてニヤニヤと笑うと、どうやら彼らも考える事は同じようで一緒に笑う。

 くっそ〜!これ別れて探索出来たらめっちゃ楽しそうなんだけどなぁ〜っ!


 パーティ外すと極々僅かにかかった味方攻撃防止機能も働かなくなるからマジで【狂化】くんが使えなくなってしまうからやりたくてもやれないのが残念だッ!



「…となれば、早速探しに行くしかないなッ!」 


 モリがそう言いながら焚き火を消すと、それに続くように俺たちも腰を上げる。休憩終わりだな〜!



「まずどっちから行こうかしら?」

「右側奥深そうだし先に左から潰そうぜっ!」

「え〜面倒な事後回しにするのは駄目ってなんかのアニメで聞いたぞ!」

「なんのシーンだよそれ」

「バス事故で同級生死にかけてたの救助するシーンだったかな…」

「なんでそんなニッチそうなアニメ見てんの??」


 暇で夜中テレビ付けたらやってて…じゃねぇんだわ、別にそこ食いつく所じゃないだろッ!!



「まぁいいや、決まらないしここは平等にじゃんけんで行こう!」

「お!来たな皆殺しにしてやる」

「あたしに有利な戦場を選んだ事、後悔することねぇ〜」

「ミンチにして鍋の具にしてやるからな…」


「「「「最初は────」」」」

「パーッ!」「チョキィッ!」「チョキッ!」「グーッ!」


「「「「じゃんけん─────ッ!」」」」


───そんなこんなで俺たちは、普段とさして変わらない様子でこの巨大地下迷宮に挑むのだったッ!


 ちなみにじゃんけんはオッサンが勝った、強すぎ。

ブクマ・ポイント・いいね・感想等いただけると幸いです!モチベが上がります!

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