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めっちゃ話すよ!

「誰が読み上げる係かじゃんけんするぞ!」

「じゃんけんなどする意味など無いだろう、常に現場に立って大声を放って指示を送る俺がここにいる誰よりも大きくかつ丁寧に伝える事ができるッ!!!!」


 くぅッ…!その音量はデシベルに換算して80dB、走行中の電車内にも匹敵する『(びっくりマーク)』4つ級の音声威力だとォッ!?


 気が立っている状態などでない素の発声でそれだけの音量を叩き出すとは…流石学生時代大声でワイングラスを破壊した実績を持つ男、模林孝也(もり たかや)…ッ!

 しかし─────ッ



「舐めるなよ小僧っ!!俺だって動画投稿も始めて喉の奥が開いてんだァッ!!

それに俺は学生時代、母校の文化祭で開催された『音読選手権』で3年連続優勝し、永年名誉音読家の名を与えられた男ォッ!!

ただ声を張り上げる貴様とは競う土台から違うのだよォ〜ッ!!」

「参加者何人?」

「全学年混合で行われ、3年の内最高参加者数は5人ッ!」

「しょっぺぇ大会だなァ〜」


 されど俺の音読技術は大したものよっ!

 音楽の教師には「いい声をしている、発声が上手い」と褒められ、文化祭にたまたま来ていたどこかの声優事務所にもスカウトされた実績があるッ!実家に貰った電話番号の紙が確かしまってある…!


 流石にこんな話を出してしまえば、二人が勝ちを譲ってしまうのは確実だからなぁ〜!流石に可愛そうだから、この話は胸に仕舞っておくよ…



「この前SNSでストリートミュージシャンに音楽関係の人のフリしてハロワの電話番号渡すコピペ見て笑った」

「くぅ~、二人も実力者が出てきてしまったなら仕方無い…!やはりここはじゃんけんで決めるしかないようだな…ッ!」

「これは天命なのだよワトソンくん、大人しく右手を差し出すんだ」

「あ、結局じゃんけんやるんだな?」


 そうして戦いの火蓋は切って落とされたッ!

 強く握りしめ、俺達は始まりの言葉を叫ぶ───!



「「「最初は───」」」

「パーッ!」「グーッ!」「チョキィッ!」


 …ふっ、まぁそう上手くは行かんか。

 やはり我が輩よ、皆同じ事を思考する…故に面白いッ!!


 再度握られる拳ッ!

 次の一挙手一投足が全てを決める…互いが互いを強く睨んで表情から相手の思考を読み、読まれたが故にどう手を出すか、その一切を今考える!


 そして握る、自身の読む最強の一手を。

 そして男達は、叫ぶ──────────ッ!!



「「「じゃん、けん───」」」

「チョキッ!」「チョキィ!」「チョキッ!」「グ〜!」


────現れる、予想外の(グー)ッ!!

 そしてその一手を盤面に刺したのは…



「いえ〜い私の勝ちィ〜ッ!

もうっ!私を抜いてじゃんけんガチバトルなんて酷いじゃないのぉ!」

「「「オッサン…だと…ッ!?」」」


 その拳は、まるで鋼だった。

 一つの光を通す隙間すらなく強く、頑固に握り締められたグーは彼という鍛治師の一生と、それが齎す貫禄をその身一つで表現しており────



「ほらバサラちゃん鎧出来たわよっ!

剣も鎧も、これまでの私の中で確実に最高の一作ねェ〜!」


────負けた。

 その場にいた全ての雀拳師(グラップラー)に、ただ一つの言葉を想起させたという…ナレーション、MC.BASARAがお送りしました。


▽▽▽▽



「えーっと…第一回公式イベント、開催のお知らせ。

日頃より『マジック&ブレイド・オンライン』をご愛顧いただきありがとうございます。


先日の緊急アップデートメンテナンスでは大変ご迷惑をおかけいたしました事、この場をお借りして謝罪させていただきます。


戦闘では一部プレイヤーの暴走に伴って発生した連続して行われるリスポーンの処理について未だ改善の余地があると判断し、緊急アップデートメンテナンスを行いました。


ですが、今回の緊急アップデートメンテナンスはプレイヤーの暴走に対処するために行った訳ではございません。


本日発表させていただく第一回公式イベントにて、同様にプレイヤー同士の戦闘と、それに伴う連続リスポーンという状況が想定できるためです。


早速その内容に触れますと、第一回公式イベントは『探索・略奪』を原案としたフィールド・ワーク形式、アイテム収集型のイベントを行います。


イベントは今週日曜日14時から22時までの間行うものとし、イベント中は『思考加速技術』を用いてゲーム内時間を一週間に引き伸ばします。

※思考加速技術の使用は行政に許可を取っています」


「思考加速って最近実用化されたやつだっけ?」

「海外だと割と前から使われてたと聞く」

「というか偉い人達の間で使ってたのを民間人でも使えるようになっただけだぞ。Verus Mundusと同じ」

「へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜」

「25へぇ」

「あっ!口で数言うの反則だぞッ!」

「続けていいかしら〜〜??」


 …はっ!?やっべ気ィ抜いてたっ!

 オッサンごめんなさい;;おこらないで;;

 へへっ、こんなもんでいいッスかね…?おじさん最近忙しくってぼーっとしてるんだ^^;



「イベント内で回収するアイテムはプレイヤーを倒す事で相手の所有分を回収可能です。

また、イベントはパーティを組んで参加する事ができます、あら〜楽しそうねぇ!

私と一緒に来てくれる子いらっしゃる?」

「はいはいはいはいっ!俺行けますっ!」

「【狂化】でナチュラルに仲間殺す子とは一緒にいられないわぁ〜!」

「そんな…ッ!」

「哀れだねぇ〜」

「ザァ〜コ♡ザァ〜コ♡」

「今アントニオ・カルロス・ザーゴの話した?」


 もぉっ!みんなったら僕と一緒になるの遠慮しちゃってぇ〜、可愛いんだからっ!

 …上位互換おるからいまいち盛り上がんねぇな?


 まぁいいや、何らかの超法的手段でも講して無理矢理みんなでイベント参加しよ〜っと!

 誰も逃さないからな。



「イベント中はPK行為などを会得条件とする一部技能(アーツ)は会得出来なくなります…ねぇこの後の注意あんまり面白くないから飛ばしていい〜?」

「もう主要な話ないかんじ?」

「ない感じ〜」

「ならええか」

「ええやろ」

「ええんちゃう?」

「満場一致でヨシとなりました、よってやめてヨシッ!」

「やった〜っ!開放感っ!

なんでアナタたちこんな苦行取り合ってたのぉ?」

「ノリというか…」

「遊びというか…」

「ふざけいてたといいますか…」

「変な子たちねぇ〜!やっぱりそういうの嫌いじゃないわッ!!」

「…楽しそうですネ」


 暇なので騒いでいると、工房から大きな人影が現れた。あっ!この前の巨大ショタだッ!


 この前は緊急時で詳しくは見てなかったが…うん、やっぱり中性的な少年、ショタだなっ!

 俺の目に狂いはなかったァ〜ッ!!



「あらグレン、珍しいわね」

「この前の巨人くんじゃん、元気?」

「まぁそれなりに…うるさかったから来てみたんデスけど、別に何も起きてない感じですか」

「そうねぇ〜!この子達テンション高いからそれに比例して私も興奮しちゃってるだけでなんにも問題ないわぁ!」

「…じゃあ帰ります」

「バイバーーーーイッ!気を付けるんだぞッ!!」

「なんでまともに話したことない貴方が…」


 なんかすごい呆れるような目で見られた気がするが…まぁヨシッ!何故かゲーム内なのにめっちゃ眠そうなグレンくんちゃんを見送った!



「あ、グレンくんちゃん来て思い出したッ!俺の鎧出来たんだよなッ!!」


 いやぁ〜じゃんけん割り込まれた事に意識向かっててすっかり忘れてたわっ!そもそもここ来たの装備の方が理由なのにねっ!!

 人間ってわからない生き物だねッ!!



「あぁ〜そういえばそうだったわねぇ!よし、せっかくだし工房で飾ってる状態のを見て色々説明してやるかッ!ついてこいテメェらァ!!」

「「「ウッスッ!!」」」


 そんなわけで鎧について質問したら移動する事になった!なんかめっちゃ話してるな…もうちょっと綺麗に分解できたんじゃないですか?

 まぁいいや、俺の鎧みに行こ〜っと!!

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