装備ってむずかしいね!
「というわけでどーんっ!!
こちらが!なんかようわからん地下ダンジョンのラスボスがドロップした【神骸器外殻筋骨・大破状態】で〜すッ!!うっひょ〜〜〜!!
発見時レアリティがEXに設定されているのを見て大きな声を出したら、運営さんからの誠意で【神聖大剣・堕胎】をサービスしてもらいましたっ!
俺の【狂化】次第でゲームの評価下げることだって出来るんだぞって事で、修理お願いしま〜すっ!!
まずは【神骸器外殻筋骨・大破状態】からァ!!
コラ〜〜〜ッ!!これでもかってくらい高レアリティの鎧の状態は大破となっており、流石のBASARAも装備出来ませんでしたァッ!!
すっかり運営も立場をわきまえ、誠意の【呪詛核】を貰った所で!
お次にっ!圧倒的存在感の【神聖大剣・堕胎】を握る〜〜っ!!殺すぞ〜〜ッ!!
大質量の大剣の状態は【堕胎】となっており、未完成のあまりプレイヤーには装備出来ない仕様でしたァッ!!
ちなみに、俺がダンジョンを攻略する様子は是非このチャンネルをご覧下さいッ!!」
「すげぇ、ネットミームに乗せて説明してるのに大概の事説明できてる」
「怒りのあまりと流石のSUSURUもが逆だぞ」
「完成度無駄に高いわね〜ってかEXマ?俺の所にそのレアリティの装備持ってくるとか手前が初めてなんだが?」
「ぬるっと口調変わんないでもらえます?」
嫌だわ〜〜っ!今の話し方で『ゲーム内だと趣味を反映させまくった結果クソキショい外見になっているだけで本当は美少女!ひょんな事から出会った二人は恋を育んでいく───!』みたいな小説的展開が理不尽にも吹き飛んで目の前にただありえん趣味のキショいおっさんが爆誕したの嫌すぎるわァ〜〜ッ!!
まぁ現実でそんな展開が起きるわけないんですけどね〜っ!
僕会社で虐められてた同期スって流れるように助けたら結構仲良くなったけど、別の同期と付き合い始めてから疎遠になったし2年もせずに寿退社して草生えた経験以降は現実を直視してラブコメは非現実と理解するようになったよっ!
ちな同期と付き合ってると知って半年間ワシの中で逆流性食道炎が猛威を振るった。
あれ可笑しいな、目からお砂糖スパイス素敵なものをいっぱいが…
「どしたん?話聞こか?」
「あ〜それは99.9%、日本で起こる刑事裁判の有罪率と同じ割合で彼氏が悪いわ。ボクならそんなことせんのに、君を悲しませることなんて絶対にせんのになぁ〜」
「無駄な文章が多いので才能ナシね〜」
「馬鹿か貴様ら、あれは短い文章の中にキショさが凝縮されてるから面白いんだよ」
ハァ全くぅ、これだから理解ってない人類はいけないッ!!
やはり義務教育の内にインターネット教育を含ませるべきではないでしょうか?
これからの社会では生活の一端に必ずSNSといった他社とのコミュニケーション機能は存在する、一種の生活必需品的立ち位置になる筈です。
ですが現代では未だ「教育に悪い」などという不確かな理由でSNSを用いた他者干渉を避けて教育を行う傾向にある。可笑しな話ではありませんか?
私からしてみればFPSゲームなどといった、画面の向こうにいる人間と銃器を用いた仮想の殺し合い…一種の戦争を子供に供給し、遊ばせている現状こそ「教育に悪い」ように思います。
やはりこれからは積極的にSNSに触れされ、「陰謀論を信じない」や「SNSで個人特定が可能な情報を拡散しない」という教育をより積極的に行うべきであると私は考えます、以上です。
はい〜早坂先生ありがとうございました〜!それではこんな無駄な思考は捨て置いて本題移ろっか!!
「まぁというわけで【神骸器外殻筋骨・大破状態】の修理と【神聖大剣・堕胎】の完成をお願いしたい。
お金はなんかたくさんあるし最悪借金もするから頼めるか?」
「そうねぇ〜修理の方は【呪詛核】を使って…あと素材が用意できれば大丈夫そうなんだけどぉ…」
そう言ってオッサンは画面共有を申請してきたので、まぁ問題ないだろうと受信し開いてみる。
すると、そこには簡易的な武器・装備完成までの設計図…ロードマップというのか?なんかそういうわかりやすい説明画像が表示された。
「えっとねぇ、このゲームに存在するアイテムは全部レアリティがあるの。
最低レアリティはF、最高レアリティはSS+…って公式には説明されてるけど、実際にはLGが最高レアリティらしいわぁ〜」
「ほうほう?」
「なぁバサラ〜なんで字幕アラビア語なの〜?」
「説明聞いてんだから黙ってろッ!!動画見てたら理由がでてくるよっ!」
「あいつ情緒ずっと狂ってるね」
「そうだね、哀れだね」
ケッ!質問は最後まで動画見てから言えってんだ!
最近多いからなぁ〜動画途中までしか見てないのに質問したりする子供ッ!!俺はあれらが増えすぎたせいでコメント欄見なくなった。
「武器装備の作成には素材系のアイテムを使うけど、当然そういうのにもレアリティはあるの〜
作る時は素材を3つ使う事になってまず主となる素材を選択するんだけど、これがレアリティの基本値を司るから、できるだけ高レアリティの素材をここに選択するわ!」
「先生〜ッ!!EXってどれぐらいのレアリティなんですか〜ッ!?」
「いい質問ね〜!煮付けにしちゃいたいわッ!!」
「具体的な調理方法はちょっと怖いっすねェ〜!」
好感度によって調理方法変えるのかな…変えそうだな…やっぱりこの人この世に居ていい人類じゃないのでは?というか人類なの?
「EXは例外のレアリティよ!性能的にはA-からS+くらいの純度やら性能やらでふわふわしてるわ〜」
「安定感ないんスねぇ〜」
「でも例外っていうのには理由があって、EXのアイテムを1つ入れると完成品のレアリティはEXになるの!
これを用いて雑魚装備にたまたま見つけたEX素材を打ち込んでレアリティをわからなくする詐欺商法を業界では金メッキって呼んでるわッ!!」
「ほえ〜ゲームの中でも詐欺ってあるんすね〜!」
「鍛冶屋全体の信用が下がるからやめてほしいわ全くッ!」
となると【神骸器外殻筋骨・大破状態】はあんまり強くない可能性があるという事か…?名前に神って入ってるのに…?
いや大丈夫だ、きっとすごく強くなってくれる!!はずっ!!なれッ!!
「まぁともかく、基本は一つ目の素材が完成後のレアリティの基本値を担うの。
2個目3個目の素材は効果値上昇とレアリティの増減を司るわ!あとは作り手の腕前次第ね〜!
半分音ゲーみたいなもんだから楽しいわよ、やってみるッ!?」
「音ゲー苦手なんすよね…」
「ベフさんすぐ沼に漬けようとする〜」
「そもそも種族ドワーフじゃない時点で無理っしょ〜」
「「「ってかバサラの種族なにッ!?体キモッ!!」」」
「人のアバターに対して酷い言い草だなぁ〜大殺戮祭開催しちゃうぞっ!」
というかかっこいいだろ黒い体に赤い筋はッ!
僕はその活火山的な印象を受けてかっこよさに震えたんだからなッ!?
「もう種族変わったの?早くない?」
「反応遅すぎるだろう、某社のクソカスWi-Fi使ってんのか?」
「俺の友達が異常成長を遂げている件について」
「後で説明するから今は装備の話させてもらっていいかなぁ〜〜??」
全く〜さっきから適度に無意味な会話挟みやがって!話がちょっとずつしか進まんやんけッ!!
「はい!さっさと【神聖大剣・堕胎】が駄目な理由説明するッ!!」
「了解〜!まぁ簡単に言って素材が無いのよねぇ〜!
EXの武器を強化するときは、主となる武器装備の特性に近い特性を持った素材を使うといいのッ!」
「その心はッ!?」
「EXはレアリティの上昇による強化値の特殊上昇がないからねェ〜っ!追加点みたいなのがないって話!
普通のレアリティなら追加点があるからそこまで気にしなくていいんだけど、EXだと出来る限り厳選したいのよねぇ〜
鎧?の方は【死霊】と【怨念】と【信仰】の特性を持ってるから、【死霊】と【怨念】の特性を持ってる【呪詛核】と、なんとその全部が揃ってる仕入れたてほやほやの【邪神の偶像】を使っちゃえばかなりちょうどよく強化出来るはずよッ!!」
「あ、俺がさっき売ったやつだーっ!」
「お力添えいただき誠に有り難う御座います…!」
「よろしくてよ、靴も舐めてくださる?」
「半裸で強面のおっさんが暗殺者の靴舐めてる〜!」
土と血の味がした〜!ゲロ吐いていいかな?どうぞ!オrrrrrrrrrrrr────ッ!!
まぁ嘘なんですけどねっ!
「なんだけど、剣の特性は【呪詛】【怨念】【血潮】でなんとも難しいのよね〜!持ってないッ!
せめて2つ特性揃ってたらいいから【呪詛核】がもしあと2つあれば妥協程度のクオリティにはなるんだけど…」
「あ〜【呪詛核】は無いなぁ…」
「まぁそうよねぇ、普通にEXってドロップ率低いし…」
「でも宛はあるぞ!これとかどうだッ!?」
そう言って俺はアイテムを取り出す。
そしてその直後──ッ!
「ッええええええええ〜〜〜ッ!?!?」
響く絶叫ッ!恐怖故ではなく驚愕の声!!
オッサンが目にした物とは〜〜ッ!?
「ちょっとちょっと〜!!これ【怨讐の紅黒金】じゃないの!?どこで手に入れたのよ!!」
「え、実在したの?」
「うっそだぁ、デマだと思ってたんだけど」
「放置したらいつの間にか呪詛ついてた初期装備売っ払ったら手に入ったッ!!」
まるで血が凝固した塊のような金属、【怨讐の紅黒金】ッ!
いやぁ〜!なんか使う機会あるかなぁ〜って手に入れといて良かったわっ!
「うわぁ〜さっきの動画見てなんとなく察してたけどマジでコイツ狩り場を舞う狂人かよ〜」
「まぁまぁ、実際に狂人で良かったじゃないか。こいつなら死んでも惜しくない!」
「ワッツイズ狩り場を舞う狂人?」
なんか急によくわからん事言いやがって、後で検索するからちょっと待ってろよ!
「なるほどぉ…完璧ね。欲しい特性が全部揃ってる!
これなら【堕胎】も大丈夫そうっ!というか数によっては両方かなり強化出来そうだわ〜ッ!」
「これぐらいあるぞ!」
「ッカ〜ッ!全身装備作れるぐれぇあるじゃねぇかッ!!
よっしゃ待ってろアンちゃんッ!俺にこんだけの大仕事持ってきたこと、正しい判断だったとわからせる完璧な装備を作ってやるぜェッ!!
グレン仕事だァッ!完璧なデザイン頼むぞォ〜ッ!!」
「お、ベフ本気だなぁ!口調が素になってる!」
「あーなったもう安心だ、2〜3時間もすれば最高の装備持ってくるぞ!」
「さっきもだけどぬるっと口調変わるの普通に怖くないか?」
そしてオッサンが工房奥へと消えて30分もすると、カンカンと鋼を叩く槌音が響き始めた。
ん〜〜っ!どんな装備が出てくるかワクワク歯てくるなぁッ!!
冷めやらぬ興奮を胸に、二人とトランプをして時間を潰す。
────背後から覗く誰かの視線に気付く事無く。
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