その6 「なんか露出度が高いんだけど?」
後方から来た衝撃波によって吹っ飛ばされたが、何とか受け身を取ることができ、素直にごろごろと地面を転がったお陰で、ケガはなかった。
運よく障害物がなかった方向に転がったのだ。
直ぐに起き上がり、土煙が上がっている方に目を凝らした。
さすがはでかポチ・・・雄々しく四本足で立っている・・・オレは草やら土やら枯れ葉やらをかぶりまくっているが・・・。
でかポチが立つ場所に小さなクレーターができていた。
「なんだ? 隕石でも落下したのか・・・?」 というぐらいの辺りの惨状であった。
細い木はへし折れ、草木は力が加わった方向へとドミノの様に倒れている。
その先には・・・何だか人間の足が見えたので、オレは恐る恐るその姿を・・・歩き出したでかポチの後ろをついて行って、隠れながら眺めた。
「上半身が土に埋まってる!?」
しかも、どうやら顔面で大地を抉ってしまったらしい・・・痛々しい姿だった。
特に内臓とかが飛び散った訳ではないので15R的にはホッとした。
とりあえず五体満足くっついているようだ。
しかも・・・。
「え・・・おんなのこ・・・?」
なんか、レザーボンデージのような黒い衣装を着けた下半身が?
むちむちのキレイな足とお尻が見えていた。
ざ、ざ、ざ、と・・・でかポチが近づき、大きな尻尾で周りの土を勢いよく払い始めた。
ビシッ! バシッ! ズアァ! ・・・容赦ないな。
とどめを刺しているワケではないよな?
親切で土を払ってやってるのだろうか・・・。
「ぷはっ・・・いだ! だ! ちょ!?」
お、意識があったか!
土の中からゾンビのように起き上がった姿は、大型犬の尻尾できれいに土を払ってもらい、段々と全貌が見えて来た。
「ちょ・・・ランドル! ごめっ! ごめんってば! 痛い! 止めて!」
肩ぐらいまでの金髪、少し尖った耳、黒い蝙蝠のような翼に・・・コスチュームは、やはりボンデージ系だった。
今度も人類ではなかったか・・・がっくり・・・。
「ランドル? でかポチ・・・おまえの名前ってランドルって言うのか?」
「ぎぃいぃい~~~っ!!」
ボンデージ系を着用した女子が奇声を上げ、でかポチ・・・いや、ランドル? の尻尾を思いっきり掴んだ。
ランドルが“ヤバイ!”っと、サッと掴まれた尻尾を力強く払って逃れた。
「白狼族がなんぼのもんじゃ~!! あんたなんか魔王様がいなけりゃ、ただのでかい狼のクセにっ!」
あ・・・シベリアンハスキーじゃなくて、狼でしたか! こりゃ失礼!
て? なんで強いはずのランドルがオレの後ろに隠れるの?
大型犬が・・・いや、大きな狼らしき動物がオレの後ろに隠れても、さすがに無理だよ? 隠せないよ? おまえ強いんだろう?
ゆらりと、露出度の高い衣装のコウモリ娘が立ち上がった。
ほら、悪魔系のゲームに出てくるアレに似ている・・・なんだっけなあ?
「え~と・・・サキュバス?」
ボサボサの髪を手ぐしで撫でながら、顔を上げたコウモリ娘はオレの顔を見て、いきなりポカンとした後に、今度はウルウルと紫色の瞳に涙を溜めだした。
何だかさっきから感情の起伏の激しいヤツだなあ?
「ま・・・魔王さまぁ~~~っ!!」
え? どこにそんなラスボスがいるの!!! オレ、ヤバイじゃん!