王様と御使い
「治療は無事に終わりましたよ。あとで見に行ってあげてください。俺は今から用事があるので、用事が済み次第また来ます」
「それは……それはあの子の怪我が治ったということですよね!? あの子の怪我は酷すぎて簡単には治らないって言われていたんです」
「金髪で、すごく綺麗な顔をしていましたね。奥さんにそっくりでしたよ」
ネヴィアさんのいる部屋に走り込んで行った。
俺はミーシャちゃんに手を振り、外で待たせているルイトスさんと王城に向かった。
◇◇◇◇
今から向かうのは王様のいるところだよな。すごい緊張してきた。冷ました感じでいるけど内心めっちゃ焦ってるんだよなー。王様と話す機会なんてないだろ。てか、急展開すぎるんだよ。だって、この世界に来たのだってついさっきだぞ。それなのに、いきなり魔物と遭遇するわ、見ず知らずの子を回復魔法で癒すわ……次は王様と面会かよ……。頭の処理が追いつかないな。
「ルイトスさん、王様ってどんな人なんですか?」
「陛下は人徳、武力、知性に優れた理想の王ですよ」
俺とルイトスさんは談笑を交えながら王城を歩いていた。
目に見えるもの全てが高そうなものばかりだ。うわ、あの壺とかめっちゃ高そう……壊したりでもしたらすげぇ強面の人たちに連れて行かれそうだ。
「えっと……怖いですか?」
「あはは、多少顔は怖いですがとても良い方で……」
ルイトスさんは途中で歩くのをやめた。
着いたのかな? いや、でもここまだ廊下だよな。それになんか、前にすげぇ厳ついおじさんが腕組んで立ってるし。何してんだろ。
「ふむ、私の顔が怖いかルイトス」
え……? まさか、この人……
「も、申し訳ありません陛下! 決して愚弄しているわけではありません!」
「よいよい。ここまでの案内ご苦労。これからは私が案内しよう」
ルイトスさんはものすごいスピードで帰って行った。
「では、改めまして私はグラムス・ニグヘルム。この王都グランディアの国王です。ようこそいらっしゃいました神の御使い様。我々は貴方様の到来を待ち望んでいたのです」
そういうとグラムス王は跪いた。
あ、ダメだわこれ。情報過多で頭パンクしそう。