目覚めたら女の子
話が飛んだものを投稿していたようです。申し訳ありませんでした。
「……さん、お兄さん」
「うっ、頭いてぇ……。君はさっきの……アンデッドはもういないみたいだね」
大量の魔力を消費した反動から気を失ってしまったようだ。自分がどのくらいの魔法までなら使えるのか把握しておかないといざという時に危険な目にあってしまうかもしれないな。
それにしてもこの女の子10歳くらいだとは思うけど、相当可愛いな。金髪に綺麗な青い瞳。多分、あと10年もすれば超美人になるんじゃないか?
「俺はナギ。怪我はないかい? どうしてこんな危ない場所に一人でいたんだい?」
「私はミーシャっていいます。お姉ちゃんが病気でここにしか生えていない薬草を取りに来たんです。太陽も上がっていたし大丈夫だと思ったんですけど、森の中だと日の光が入ってこないみたいで……」
「そうだったんだ。お姉ちゃんは今どこにいるの?」
「今は王都の家で休んでいます」
病気か……。ひょっとすればそれも俺の回復魔法があれば治せるんじゃないか? しかし、一度も使ったことがない魔法を人に使うってのはよろしくないだろう。
「元々王都に行く予定があったんだけど、もしよかったら連れて行ってくれないかな? お兄さんはこう見えて回復魔法を使えるんだよ」
「か、回復魔法ですか!? その、嬉しいんですけど……私の家はそんなにたくさんのお金を持っていないんです……。人を治療するのにかかる料金は金貨1枚と聞いていますし……」
失念していた。回復魔法というのはそれ自体が希少なもので誰もが使えるようなものではなかった。この子もその魔法の希少性は理解しているのだろう。
ただ人助けがしたいから、なんて理由だとこの子も困るだろうし……あ、そうだ。
「俺は少し遠いとこから旅をしてきたんだけど、今は宿がないんだ……。それで提案なんだけど、治療をする代わりに少しの間だけ家に泊めてほしいな。それと、できれば王都の案内をしてくれると嬉しいんだけど……」
「そんなことでいいんですか? それならお願いします!」
ガサガサッ
何かいる!? 俺はすかさずミーシャちゃんを後ろにし守るようにした。
「人ならば攻撃しないでくれ! 保護した少女がいるんだ。この子に怪我をさせたくない!」
「も、申し訳ありません! 私はグラムス王直轄の騎士団員、ルイトス・フィーズと申します! グラムス王により貴方様を保護するようにとの御指示を受けております」
どうやら人のようだ。王都グランディアってことはこれから行く予定だった場所のことか。なんでその王都の王様が俺なんかを保護するような命令を出したんだ? 思い当たる節があるとすればあの魔法だけど、周りに人なんかいなかったしバレるはずないよな。
「私は保護されて、その後どうなるのですか? そこらへんも含めて教えていただかないと不安です。それに私は今からこの子の姉の治療に行くところです。命に関わる症状の可能性もありますし、どんな事情があるにせよ私はこの子の姉の治療を優先するでしょう」
「そうでしたか……。しかし、私もまた主人の指示のもとに動いていますから、私の一存で決めることはできないのです。今、貴方様を探すために森全域を王直轄の兵士たちが動いています。ここはどうか彼らの努力に免じていただくことはできませんか?」
「では、この子の姉の治療が終わり次第私が王城に伺います。ですから、誰か一人兵士を私につけてください。そうすれば私が逃げる心配もないでしょう」
ルイトスさんは渋々だが承諾した。もし彼が、王様に怒られるようなことがあれば俺が弁明しよう。
王様と話す機会なんて普通の世界だったらまずないよなー。あっちの世界の常識がこっちの世界でどのくらい通用するのか……あぁ、不安だ……。