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目を覚ますと……

「おかえり少年」

「ここは……？」

　あの事故でもしかして生き残ったのか？ ……いや、違うだろうな。だって、目の前に立っているの人間じゃないし。

「ここはどこかと言われれば返答に困るんだけど……うーん、そうだね。死後の世界、と言っておこうかな」

「それじゃ、やっぱり俺は死んだんですね」

「その通り。でもただ死んだわけじゃない。人の命を救って死んでしまったんだ」

　よかった……風香ちゃんは助かったんだ。それならよかった。

「君は本当に不思議だね。普通なら死んでよかった、なんて思わないのに。優しい心を持っている」

「いえ、彼女にはいろいろと助けてもらいましたから。俺の分も彼女には生きて欲しいんです」

「ふふ、やはり君は面白い。さて、そろそろ本題に入ろうか」

　本題？死んだんだから本題なんて出されても困るんだけど。

「死んだ人間を復活させるなんてことは許されないんだけど、特別に君は生き返らせることにしたよ」

「え、そんなこと可能なんですか！？生き返るって、どんなふうに生き返るんですか？」

　生き返るってのはすごい嬉しいんだけど、まさか墓場からゾンビになって生き返りましたー、なんて事じゃないよな。さすがにそんな感じで生き返っても人生……死んでるから人生じゃないけど、とにかく楽しく過ごすことはできないだろ。

「あ、ごめんね言い方が悪かったね。君はこことは違う世界で生き返る、転生するのさ。君が気づいた頃、そこはもう異世界だ。何、安心するといい。知識はちゃんと頭に刷り込んでおくからさ。それじゃ、僕の作った世界を楽しんできておくれ」

「それはちょっと急すぎ……え？」

　俺は何が起きたのか理解できなかった。気付いたらそこにいた。さっきまでと違う場所だ。

　地球とは異なる別の世界。ここが世界アルトゥエ……。