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呆気ない

作者: タマネギ

もう、暑くなることはないみたいだ。

ものすごく暑い夏だったのに、

涼しくなるのは、呆気ないぐらい

早かった。


何か大切なことを、言って

聞かされたような、そんな

数ヶ月だった。

なら、今度は、ものすごく

寒くなるんだろうか。

そう推測してみることで、

この数ヶ月、いや、この数年の

バランスを保とうとしている。


このまま、季節の機嫌を見ながら、

静かに、過ごしていく。

あれこれと、頑張ってみたり、

思考を重ねてみたところで、

どうなるものでもないのだと。


頭の中で、消えようかと

そう、呟くようになったのは、

いつ頃からだろう。

世界のことや、人生のことよりも、

目の前のコップの水や、

鳴り続けている目覚まし時計といった、

ささやかであり、また、

どうでもいいようなことに、

押しつぶされてゆくのがわかる。

その方が、ほんとの度合いも

強いみたいだ。


もう、戻ることはないみたいで、

もう、進むこともないみたいに、

狭い壁の間に挟まれている方が、

ほんとの度合いが強いって

ことがわかる。


だんだんと、自分が意味を持たなく

なっている。

生きてくこと、ただ生きてくことに、

意味があるってこともわかる。

だから、よけいに、自分が意味を

持たなくなってゆく。


もう、暑くなることはないみたいだと、

そんなことを考えてるのは、

もっとべつのことに繋がる何かを、

ひたすら、ごまかしているから

なんだと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] ささやかな、消えたい思いがあるなら 感謝という、ちょっとした視点の変化で ささやかな、幸せを見つけることも できるかもしれません。 御作から、そんなことを感じました。
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