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11話

「エインさん!?一体どうしたっていうんですか!?そんなの当たったら間違いなく死んじゃいますよ!!!」

 「分らないか?殺す気で突いたのだよ、私は。」



 そんなことは分かっている。だが聞きたいのはそんなことではなく何故こんなことをしたのかだ。先ほどまで楽しく話していた相手にいきなり槍を突き立てられるなど二十数年生きていて初めての経験だ。驚いて当然である。




 「さて、もう一度問う。お前はどこでその名を……”エルフ”という名を知った。正直に答えれば命は助けてやろう。」

 「どこで知ったって……僕の知ってるお話には沢山出てくるんです!!」




 そういうとエインはキッと庵を睨み、目に見えて怒りを露わにした。




 「話に出てくるだと……?そんなハズがないだろう。その名は我が一族以外の記憶からは完全に抹消したのだからな……まぁいい。答える気がないのなら殺すまでだ。」




 (抹消した!?どういうことだ!?そんなことできるのか!?ていうかそんな場合じゃない……!)




 驚きを隠せない庵に対しエインは再び槍をふるった。



 上段、中段、下段。その他にも薙ぎ払いや降り下ろしなど変則的に攻撃を繰り返し行動を読ませないよう振っていることがよくわかる。だがその攻撃はこの部屋の狭さにより存分に震えていないように感じる。




 「エインさん……!やめてください!話を!そう話を聞いてください!!」

 「法螺話を聞く気はない!大人しく当たっておけ!!!」




 話し合いを期待はできない。だがこの状況は打破しなければまずい。今はこの部屋の狭さと長年の先頭の感のお陰でなんとか避けきれているが、もし外に出されたり兵士を投入されれば即終了だ。何か、打破するすべを見つけなければ…!



 そう考えながら連撃を右へ左へと躱すがとうとう部屋の角へと追い詰められてしまった。今度は部屋の狭さに殺された感じだ。




 「これで決まりだッ!!!!」




 そう言ってエインは槍を突き出した。角に押し込められている状況。左右にはよけれず上に飛んでももう一度突かれ終了。回避は不可能。受けるしかないこの状況で庵がとった行動は。




 「当たるかァッ!!!」




 庵がそう叫ぶとエインの突き出した槍が突如現れた白く光る壁に直撃し、はじかれた。

 槍が弾かれたことへの驚きが隠せず、連撃が止んだ。その瞬間庵は部屋の角から抜け出し扉をかけた。しかし……




 「開かない…!!」




 どうやら扉には何かしら施錠がされているらしく開かない。破壊すればいいのかもしれないがこの体でどれぐらい強度があるかわからない壁に魔法を打って無駄にMPを消費するのは避けなければならない。開かないとわかりすぐさま扉を諦めエインへと向き直す。




 「そういえばここに来た理由は魔法を使ったことだったな……剣士だと思っていたものだから魔法のことを忘れていた。」




 そういうとエインは髪をオールバックにし、キラキラと輝くその金髪をヘアゴムで止めると庵を見つめた。その瞳は美しい青色から燃え上がるような赤へと変わっていた。





 「ここからは本気で相手をしよう。だがここでは少々狭い。なので私の箱庭へと招待しようじゃないか……」




 エインはそう告げると槍の石突で床をコンコンッと二度突いた。するとそこを中心に部屋の床が消え、底の見えない穴へと変化した。




 「なっ!?」




 突然のことで庵はなんの抵抗もできず穴へと吸い込まれていく。




 「さぁ、ここからが本当の闘いだ……」




 エインはそう告げるとゆっくりと穴へと潜っていく。二人の姿が完全に見えなくなると、穴は消え、跳ね飛ばされた机や抉れた床などを含めた全ての物が聴取を始める前のものへと戻っていた。先ほどまで戦闘が嘘であるかのように綺麗になったその部屋は、音一つしない静かな場所になったのであった。

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