戻った主人たちの平穏
書き溜めて置かなくては、と思いつつ何にもかけてなかったので今書き上げました。
週末は、どうしてこんなに眠いのでしょうか。
双子たちの日常と魔王の日常が編み上げられていく物語をこれから書いていきたいです。
「ゆうたたま!みて!みて!」
「ゆーたーたーまー!みーてー!」
メルとネルは元気いっぱいに中庭の芝生を駆け回っては転げまわり、俺に見事な転げっぷりを競って披露してくれる。
清潔に体を洗い、美しい白銀の絹糸のような髪を結い上げて、存在に相応しい衣装に身を包ませるとその愛らしさも更に磨きがかかった。
俺もルーも大変満足したが、双子はとても元気に暴れまわり、髪の毛ボサボサ、ドレスドロドロを仕立て上げるまでに一時間も要さなかった。
「元気だよね、とても元気」
ルーは相も変わらず、ニコニコと双子を愛おしそうに見つめている。
ベルデアと、その配下達が整え直し、と言うか。ほぼ建て直した新たな双子の居城はかつての汚れも悲劇も全てを払拭した素晴らしく美しいものになった。
陽の光にも月明かりにも、白亜に輝く双子に相応しい美しい城。
堅牢に直した城壁は、物理的にも魔法防御的にも最高峰の強靭さを狙ったと言う。
汚れを持つものは触れることすら叶わぬ、とベルデアは自信に満ちた説明を聞かせてくれた。
庭園にも、敷地内の森も、中庭も、全てに双子を守り育むために必要と思われる全てを施した。
王都に関しては、王妃が都市機能の状態を調べてから、と言う願いを出したため、今はまだ手付かずだ。
「ぎゃー!メーがしゅごいにょ!」
「にゃはぁ!ネーも!ちゅごい!」
ベルデア渾身の中庭の芝生が双子に剥がされていっている。
土まみれになって、どちらが芝生をうまく捲れるかと競い合って遊んでいる。
眼に映る全てがおもちゃだ。
「ゆーたーたーまー!ネーがちゅごいのよ!」
「あーん!メーもしゅごい!ゆうたたま!」
みて!
きて!
して!
はやく!はやく!はやく!
双子の主人たちは、俺の寵を、競い穴掘りを始めた。
「「ゆうたたまも!」」
え?俺も穴掘るの?
しょうがない、可愛い愛しい双子の願いなら、従わない訳にはいくまい。
べりっと軽く芝生をめくり上げた瞬間、俺を射殺さんばかりの冷たい殺気を感じた。
な、この俺に殺気だと。
良い度胸をしている愚か者がこの世にまだそんざ、い……?
「我が君?」
ベルデアがいつの間にか俺の背後に立っていた。
「我が至高なる御方よ、何をなさっておいででございましょうか?
まさか、魔の深淵たるそのものと、ありとあらゆる世界に名を轟かせた我が君が、我が忠誠を捧げたそのお方その王が!
まさか、部下が丹精込めて作り上げた芝生を幼児と共に剥がし破壊するなど、なさいますまい?」
「んな、まさか。そんなことをするはずなかろう。
俺は主人たちと遊んでやろうとだな」
ベルデアは恭しく俺に膝まづき、そしてそっと突き上げるように冷たい視線を突き刺してくる。
行儀見習いに関して、そう言えばこいつは煩かった。
そうだ、まだ俺が魔王としてなを馳せるその前から、ベルデアはこうであった。
「我が君、お子様方はそろそろお昼寝のお時間でございます故」
素気無く告げて、ベルデア配下の側仕え達が双子を抱き上げて連れて行く。
「あー!あーん!まだあしょぶ!ゆーたーたーまーとーあしょーぶー」
「やあーの!まだ!あな!あなほりゅの!メーかちゅの!」
「ネーもかちゅにょ!ちゅごいのよ!」
「メーも!」
「ネーも!
「ねんねちなーい」
「ちなーい」
側仕えたちはニコニコと微笑みながら、決して双子を逃さない。
双子の身の回りの世話は常に12を数える側仕えがするようにベルデアが手配している。
皆繊細な美しさを持った女官であるが、暴れ抵抗する双子に一切動じない。
さすがはベルデア直下の者達だ。
「あらあらメル様もネル様も、おやつの時間なのですよ」
「おやちゅ!」
「おかち!」
「そうなのでございますよ。キレイキレイしてから甘くて美味しいお菓子とお飲み物がありますよ」
「えー、いまちゅぐー」
「しゅぐがいいー、いーま!いーまー!」
「ふふふふ」
「ほほほほほはほほ」
「ほんにお可愛らしい」
「うふふふふ」
「いーまー」
「おかちー!」
双子が中庭から連れていかれてしまった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
書きたいことがたくさんありすぎて、脳内混乱しながら書くのを忘れていたとか、お間抜けでした。
不定期更新になるかとじぶんでおもっていたのですが、
興が乗ってるときにたくさん書いて、出来るだけ密に更新したいという気持ちがあるので、頑張ります。
一人でも多くの人に楽しんでもらえたら嬉しいです。