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おでかけの回収

師走からなのか、焦りが先立ちます。

火の手をはるか後方にある。

フランネイルは、小さな孤児たちに木の根元に隠れるように促す。

「少しここで息を整えよう。火がもっと見えなくなるまで走ったら、そこで次はゆっくり休もう」

小さな孤児三人は息を切らせて頷く。

泣きたい辛い苦しい、でも逃げないと!

そう前身で孤児たちはフランネイルの背中を押してくれる。

フランネイル自身も息を整えて、周りの気配に神経を尖らせる。

深い森の中は、昼間でも薄暗い。

日が暮れると真っ暗になるだろう。

まだ明るいうちに出来るだけ距離を稼がないと。森を抜けたら国境線が間近にあるはず。


「国境をこえて、隣国に行けば追手は一旦は足が遅くなるはず」

いや、なって欲しい。

頭の中にある地図を思い出しながら確認する。

大雑把な方角を定めて進んでいる。どれくらいズレているかによって、また話が変わってくるだろう。なによりも、小さな子供達は自分以上に体力が限界だろう。

まだ頑張ってくれるだろうか。

と、三人を確認したら、身を寄せ合ってうとうとし始めている。


「………」

どうしよう!?

起こして無理やり走らせる?

でも、もう意識が保てないほど疲れてるんだ、少しだけ、少しだけ休ませよう。

そっと孤児と交換した衣服の上着を脱いで、三人にかけてやる。


「少しだけおやすみ。巻き込んでしまってすまない」

三人の頭を優しく撫でてやる。


ふと風が吹いた。

優しい撫でるような風、かと思いきや、ざざざざざ、と木々の枝葉を揺らしそれがぐるりと自分たちを囲み何周かして吹き止んだ。


「ああ、やはり」


声は頭上から。

凛と響いた声に警戒心無く仰いでしまう。

木々が風に枝葉を押しやられて青い空が見えた。

日の光はもう随分傾き始めてる、程なくして夕暮れが来る時間台だったのか、とぼんやりフランネイルは考えつつ、視線は空からゆっくり舞い降りてきた人物に注がれている。

「うふふ。ほら、やはり」

風は止んだのに、その人物の周りだけ緩やかな風が巡っているのか、髪や衣服がさわめいている。

とても美しい顔立ちの青年が微笑みながら舞い降りてきて、フランネイルは言葉を選んで発することもできなくなっている。


「君、生き残ったね。

君に求めるたものは達成されずにいくつか残ってはいるけれど、及第点、あげないとまた泣かせてしまうから」

優しい声で優しい口調で、唇も微笑んでいるが、その目は酷く冷たい。


「君たちを助けてあげるよ。救済という名の神の慈悲がどう

言うものかを身をもって教えてあげる。

君たちはそれを人として世に知らしめるオシゴトをあげる」

「?」

「うん、今は分からなくてもいいかな?

フランネイル皇子、君の命を君の成長を約束してあげる。そこの小さな子供達も含めてね。

奇跡に見合う成長を是非見せてね」


フランネイルが意識を保てたのはそこまでだった。


ここまで読んでいただき、えりがとうございます。

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