おでかけ 佳境?
毎日の更新時間目標は16時なのです。
本日16時「まだ何も書けとらん」状態でした。
おでかけはまだもう少し続きます。
気に食わん。
何がって、エルメイロスが気に食わん。
「おや、ゆうたたま。顔が怖いよ?」
ニンマリ笑うエルメイロス。
お前にゆうたたまと呼ばれるいわれはない。
「怒ると僕の奥さんたちが怖がるからやめてね」
ルーはさり気なく俺に釘を刺す。
僕の、とは何だ。俺がまずはじめに呼ばれて、そして契約をしたんだ。
俺の主人たちだ。そして妻でもあるが、まだ幼いのでそれはまだまだ先の事で良いのだ。
「君って、昔から変わらないよね。父さんといた時から不機嫌になるとその顔だもの」
「うるさい」
「ふふ、たまには父さんに顔見せてあげてよ。喜ぶと思うよ」
「ふん。今は関係のない話だろう」
ギロリと睨んでやると、ルーは嬉しそうに笑っている。
「落ち着いて、エルメイロスは、敵じゃないんだから。
確かに癖は強いけどね」
そこが最大の問題ではないか。
「ふふ。でも、僕の奥さんたちには、エルメイロスも敵わないと思うけどね。
見てておあげよ」
促される視線の先に、エルメイロスに泣かされている主人たちの姿。
「なんでー!
あっちいってーちてーちってー!
にゃいてるの!めっなのー!」
「ちてー!あっちー!!あっちー!!」
「うん、あっちだねー。
でもね、君たちはお姫様でしょう?こんなに沢山のお付きの者がいてやっとお外に出られるの。
君たちのわがままだで自分から命の危険に飛び込んだらね、この者たちが命をかけて君たちを守らなきゃなの。
わかる?
誰かを助けるのに誰かを犠牲にするの?
それって良いことなのかな?
顔も名前も知らない誰かと、時間もお金もかけて特殊な教育を受けてお城でお仕事している人達を失う様なことをお姫様がしても良いのかな?」
「「ぅわがんだいー!!!
ないないやー!!!ちんぢゃめー!!!」」
身近な者が死ぬと言う事に明らかな拒絶を示すも、多分エルメイロスの話の内容の殆ど頭に入ってないだろう。
幼児には難し過ぎるし、まだ早過ぎる話だろう。
「うんうん、死んじゃうのは嫌だよね。
みんな君たちのためにお仕事として一緒にいてくれてるの。
無駄死にの可能性を君たちが作っちゃダメなんだよ。
知らない者たちは放っておけば良いんだよ。
お弁当持って来てるでしょ?このままピクニックにしよう!とても素敵な場所に連れて行ってあげるよ」
エルメイロスの提案に、多分話の半分以上は理解できてないだろうが、目的地に行ってくれないと言うことは理解できたようで、烈火のごとく泣きわめき出した。
我が主人たちは、流石、と感心してしまう程の見事な泣きわめきっぷりだ。
「ぢでー!!!!
メーがぢぐどー!!」
「ネーがづぬどー!!!」
涙に鼻水に涎で顔がぐちゃぐちゃで、エルメイロスに掴みかかり、衣服や髪や顔を引っ張る主人たち。
エルメイロスは笑顔を崩さずに、そこはされるがままだ。
「うんうん、そうかそうか。
行きたいんだね。君たちは何にもできないのに」
ガーン!!と効果音がつきそうな程の、ショックを主人たちは受けるも、めげない。
「うふふふ、可愛いねぇ、面白い。
意地悪はこの辺にしてあげるよ。今日の話はまだ早かったかな?
でも、覚えておいてねお姫様たち。君たちの命は安くないの。生き方も視線も思考も言葉も仕草も、何もかも全てがね、尊いの。
だから、つまんないものに触れさせちゃダメだよ」
移動速度が上がる。
「ちまんなくにゃい!」
メーがエルメイロスをグーで殴る。
「にゃいてるの!ちまんにゃくない!」
ネーがエルメイロスの頬を力の限り握り込む。
「うふふふふふふふ、面白いね。力強いねえ、うふふふ、てて、いたたた。
痛いよ、地味に痛い」
目的地に着くまで、主人たちから鉄拳制裁と言う名の八つ当たりを受けながらも奴は笑っていた。
エルメイロスは、被虐趣味でもあるのか?
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




