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おでかけ その4

寝不足で書いてたのを見直すと、文法崩壊してました。

フランシスは田舎の家に生まれた。取り立てた金持ちでもないが多少余裕のある畜産農家だった。

人を雇って牛乳や牛肉を出荷する。フランシス自身は家業の手伝いをすると言うより、坊ちゃん坊ちゃんと可愛がられて育った。

父は多少独善的ではあったものの頼りになる大黒柱で、母もそんな父に尽くしながらもしっかり手綱を握っているような、芯のしっかりとした女性だった。

年子の弟たち二人も、勉強より駆け回り暴れては両親の鉄槌を食らうなど、ありふれた日常を暮らしていた。


幸せだった。

その時は、そうは感じていなかったし、幸不幸など思考の端にも登らなかった。

幼かったフランシスの人生を変えたのは、父の親友の裏切りだった。

土地家屋含めた農場も商売のルートも何もかも全て、父の親友に騙し取られた。

フランシスが8歳の時だった。

父母は資産を失い失意のどん底に落ちたが、命がある、また稼げば良いと家族を盛り立てようとしてくれたが、死んだ。

理由はわからない。周りの大人は誰も教えてくれなかった。


フランシスは弟たちを連れて教会に、神父に助けを求めた。

生前、敬虔な聖十字の信徒だった母によく連れられて行っていた場所だった。

優しい初老の神父は、慈悲深い微笑みで三人を迎えてくれ、王都の国教教会で面倒を見てもらえるように取り計らってもらえ、深く感謝した。


「迷い困窮する者に道を指し示すのが私の役目です。しかし、道を自ら踏みしめて歩むのはあなた方自身であるのを忘れてはなりません。

進むも戻るも拒絶するも道そのものを消してしまうのも、あなた方次第なのです。

まだ若年故に用意された道のみの歩みかも知れませんが、いつか本当に一人で立って歩まなくてはいけない時のために、学びなさい。

多くを知りなさい。多く挫折しなさい。そして何度でも立ち上がり挑戦し続けなさい。

苦を良しとせず善を良しとしなさい。

悪と断ずる前に、何故そうなったのかを見抜く目と頭を養いなさい。

多く望み求めれば世界は、神々は応えてくださるのですから」


神父の言葉は、枯れた大地に天よりの雨水が染み込むように、フランシスの中枢たましい

にスッと入り核となった。

生きていて良い、と全てを認められた幸福をフランシスと弟たちは噛み締めた。


教会で3年を過ごした。

そこでは、無償での生活保障と一流の教育を施された。

人に助けられたと感じたならば、人を助ける人になりなさい。

教育に携わった全ての人に聞かされた言葉だった。


「神に救われたと感じたならば、また世界のために尽くせる存在になりなさい。

ここではその術を教えます。

どの道を進むのかはご自身で決めるのですよ」


綺麗な言葉と姿勢と思考と常識と技能と、様々を学んで可能性という幸福を得て、生きる喜びを知って、そして奪われた。

壊された。


フランシスも他の教会の子供達も喜びを奪われ破壊されて、王都外れの廃屋に等しい教会に押し込まれた。

王妃の死をキッカケに、国に満ちていた幸福が不幸へと塗り替えられていく。

漠然とした不安と危機感を決定的にしたのは、フランネイル皇子の慰問だった。


フランシスは教会で受けた恩を返す時だと、孤児の仲間たちと話した。

救われたのだ、救わなければ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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