呪い
書き溜めておく事がなかなかできません。
頑張らねば!
幼い子供ばかりを集めて、残虐に殺して行く。
その恐怖や痛みを、俺の主人たちに味あわせた者がいる。
許しがたい。
毛頭、許すつもりもないが。
悪夢の舞台の、血と肉塊に溢れた空間に未だ留まり、観察する。
子供と言うものは、古来から人間の信仰において、しばしば注目される存在だ。
存在が無垢として、神の供物とされるのが主流である。
巫女も純粋であれば重宝される事も多い。
しかし、これは、神への供物と言うよりも、もっと別の何かの意図の臭いがする。
悪意や憎悪だ。
殺された子供達のものではなく、殺す者の意識だろう。
色濃く悪臭として空間に世界に刻まれたもの。
「不快だ」
これは呪いだ。
純真無垢なるものとして子供を見立てた虐殺。
主人に向かう悪意であり害意だ。
「小さきものらよ、今は眠れ、深き闇に眠り痛みも苦しみも忘れ果てよ。
闇よ、悲しきものを癒し抱け、全てが癒えるまで」
死して尚絶叫していた魂たちを、安寧の闇に沈めた。
全てが癒えるまで、時間がかかるだろうが。
後は捨て置くことにして、主人たちの下に戻るとする。
ルーが寝かしつけてるだろうが、今夜は共にいよう。
意識を戻し、主人たちの様子を見れば、ルーが共にベッドに入り寝かしつけていた。
「もう戻って来たの?もう少しゆっくりして来たらよかったのに」
しれっと言うルーの鼻をつまんでやる。
「どけ、邪魔だ。俺が一緒に寝る」
「僕からしたら、君の方が邪魔そのものなんだけど」
聞く耳持たん。
俺は主人たちを抱えてベッドに潜り込む。
「ゆーたーたまー」
「えへへすきー」
寝言なのか寝ぼけ眼なのか、間延びした声が聞こえたと思えば、健やかな寝息が俺に届く。
翌日、主人たちが目を覚ましたら、また大騒ぎだった。
「ゆうたたま!お出かけ!こっち!」
「ぬーたんも!あっちー!」
まだ朝の支度も済んでいない有様で、俺たちの腕を小さな手で掴んで引っ張る。
「「おんも!おでかけ!あっちー!!」」
必死に訴えてくるのだが、遊びに行きたいのかと問えば、顔を真っ赤にして怒る。
「ちゃーのよー!ちゃーの!おでかけ!ゆうたたま!あっちー!」
お出かけお出かけ、と何かを訴えたいのは分かるが、その意を汲み取れずにいたら、泣き出した。
「やあのーやあのーなくのー、あっちーおでかけするのー」
「泣いてるのはメルだよ?」
ルーが優しく声をかけると、ブンブンと頭を勢いよく降る。そして転ぶ。
「ほらほら、興奮しないの。
まず顔を洗ってお着替えしなくちゃね。そうしたらお話聞こうね」
ルーから女官にメルもネルも渡される。
二人はあぐあくと泣きながら、まるで売られる子牛のように連れていかれた。
あれもあれで愛らしい。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
読んでくださる皆さんが楽しめるよう、書く私も楽しめるよう、作品に取り組みます。
今後ともよろしくお願いします。




