ジャン・ド・ラノルシェ
金勾の浅く、そして家を空けるような、まだ遠くも奏でている日々を、月の、そして雪の降り弦ナミダアを、夜空から地平線が織り上げた來る日を、まだ癒眼の浅い詩的な窓の奥に、淦い夕闇が午後五時の音楽を知って余月と神の間に、秋は必ずアイを知った、疑東に行く、手を伸ばしては死者を香油の間でMessiahが、いらっしゃる。
世界を終わらせた、あの朝陽に薄く、暗い夢を見たんだ。
ポンコツと言っていいような、まあ、そう形容しても構わないくらいの古さ。誰がこんなに古い古典文学を読むだろう? と思って仕方ないくらいの、だった。その古典文学の名は「鏡の間」という。その人が一度だけ宮殿の鏡の間にいった実体験を膨らませておとぎ話にした。そんな作品だという。
だいたいこんな感じ。
むかしむかし、あるところに世界一の賢者がいました。賢者は王妃に仕えて魔法を教えていました。その王妃は火を暗唱できるようになり、雷を呼べるようになって、死ぬ前の日に初めて世界を信仰した哲学に潰されて、ああ、鏡の間で死んだのだ。そして賢者は初めて王妃と初めてキスを交わした。
そう、これが鏡の間のことだった。
呼んで、詠んで、そして日々を酔うのだ。
ああ、我が名はジャン・ド・ラノルシェ!