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第七十八話 「しぶしぶ」
謎の声の男が去っていき、
美名城夏帆は図書室の窓から景色を眺めていた。
隠れていた四人は
美名城先輩の後ろ姿に
なかなか出ていくことができない。
すると駿が
こっそり裏口から図書室を出ていこうという
サインを送った。
八千草、菊池はそのサインに頷いて
駿が隣に隠れていた孝也の方を振り返ると
そこに孝也の姿はなかった。
あれ?孝也は??
そう思った瞬間、
孝也は美名城夏帆に話しかけていた。
「美名城先輩、すみません、
今の話盗み聞きしてました」
「あら、いたのね」
わお、盗み聞きしてたこと言っちゃったー!!
しぶしぶ駿ら三人も顔を出し
美名城先輩に盗み聞きの件を謝罪した。
「ふふ、
盗み聞きしていたことは
いいことではないけれど、
あなたたちは素直でいいわね」
美名城の笑顔に四人は救われた。