85/301
第七十七話 「図書室でのやりとり」
この声は・・・
孝也の聴覚センサーが反応した。
「ダンスの件だが、流れはこれでいいんじゃないか。
ただこれは夏帆が考えたものなんだよね?」
「どうかしら」
夏帆?!
菊池、八千草、駿の三人が美名城先輩が
声の正体の一人であることに驚く中、
孝也だけが聴覚センサーで真っ先に
話し声の一人が
美名城夏帆であることに気付いていた。
もう一人は一体誰なんだ。
美名城先輩を夏帆呼ばわりし、
タメ語で渡り合える相手・・・
孝也はもう一人の男のことを考えていた。
そして謎の男が話し始める。
「そうか、それなら心配ない。
つい夏帆の考えにしては
かなり攻めた内容な気がしてな。」
「何よ、それ。
私のことを分かったようなこと言わないで。」
「はは、すまない。
この調子で本番も頼むぞ。」
「言われなくてもそのつもり。
あなたたちの力を借りなくても
やれるってところを見せてあげるわ。」
「ああ、楽しみにしているよ」
謎の男の声の正体はその場を後にした。