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第六十八話「崖の上の人影は誰?」
崖の上に人影が見えた菊池は
海上絵という聞いたことも見たこともない、
いわば正体不明の活動に対して
疑いから確信へと変わりつつある中にいた。
あのとき、
一瞬だけ見えた人影・・・
そう、どこかで見覚えがあるような
人影のことが気になっていた。
「なんだろう、この感覚。
以前にも見たことがあるような気が・・・」
ただの人影だというのに、
どうしてここまで私は気になってしまうの。
普通じゃない。海上絵・・・
そんなことありえるの?
タロちゃん、あなたはどこにいるの?
そんな戸惑いは束の間、
カヌーにのって
何か網のようなものをなびかせていた男たちは
いきなり白シャツを脱いで、
海の中へと勢いよく飛び込んだ。
菊池ら四人は完全に呆気にとられていた。