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第六十二話 「影から見たものは」
八千草、菊池、駿に孝也の四人は
今日、太郎が活動している、
もしくは美名城先輩とデートしている様子を
こっそりと見に行くことにした。
孝也は
決定的な証拠となる現場を確かめるため。
残りの三人は
太郎への疑いを晴らすため。
この時、確信となる真実が
どちらに転ぶかは
誰も知るよしもなかった。
海辺に着くと、四人は、
自転車をこっそりと見えないところに駐輪し、
トイレの影に隠れた。
「隠れる必要あるかな?」
駿がつぶやくと孝也がそれに対して口を開こうとする。
すると先に菊池が
「そこはちゃんと徹底して
疑いを晴らしましょ!!」
と言い、続けて
「じゃあ、見るよ!」
と、のぞき見に気が引ける駿も含めて
全員が頷いた。
トイレの影から、そっと海辺を見てみると