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第五十九話 「仲違い」
「孝也、
確かにお前は将軍の立場だけど、
軍の進め方を誤ったときは
平民とて黙ってはいないぞ。
駿も八千草さんも
菊池さんも俺も
孝也の駒ではないことだけは
忠告しておく。」
「余計なお世話だ」
孝也はムッとした表情を浮かべて
その場を後にした。
駿は太郎の側に寄り、
肩に軽く手を置いて
孝也の後を追った。
駿には俺と孝也の心が
見えているのだろう。
駿の背中が部屋から
去っていくのを見て、
「これでよかったんだ」
俺は平民で、一番立場が低いからこそ
欲がない。あってもそれは、
みんなが、立場の隔たりをとっぱらった上で
一緒にいると楽しくてしょうがないと言える仲間でありたい。
そのために俺は俺のできることでもしよう。