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第四十八話 「ポーカーフェイス?」
もしも俺が
ポーカーフェイスならば
動揺もここまでしないだろうし、
声も裏返ったりはしないだろう。
「なら、タロちゃんはポーカーフェイスね」
どうしてそうなったのだろうか。
理由が聞きたい。
「どうしてそう思うんですか?」
「それは内緒。でも私には分かるのよ。」
「そうですか。
まぁ、ポーカーフェイスってことにしておきましよう。」
男に二言はないと言わんばかりに
美名城先輩との間だけポーカーフェイスを認めてしまった。
美名城夏帆は図書室の窓際に向かい、
そこから見える海の景色を眺めながら
「ねぇ、タロちゃんには何が見える?」
と不意で意味深な質問に、
海の景色を眺めた俺は
「海ですね」
なんのひねりもない
あるがままを伝えた。