第三十四話 「菊池さんって・・・何者?」
まさかの寝てない発言を聞き
「え、じゃあ、起きてたの?」
と聞くと、
「うん、起きてた。
私に真千先生が
寝てるのかって確かめたでしょ。」
「ああ、確かめた」
「あれ、気付いてたけど
起きてるの悟られないために
反応しなかったのよ。」
おいおいおい、
あなたは一体何を言っているんだ。
寝ていない発言だけにとどまらず、
真千先生相手に寝たフリまでしたというのか。
あの女王ティーチャーに寝たふりをするなんて普通の神経じゃない。
俺にはすでに菊池さんの考えが読めずにいた。
「何のために?」
「いつもいつも佐藤が
寝たってだけで廊下に
立たされるのが許せなかったの。
誰にだって寝てしまうことなんてあるのに、
佐藤だけ集中的に罰せられてる。
だから今日は私が
佐藤に代わって罰を受けようと思ったの。」
ただただ眠気に抗えず、
講習中にスヤスヤと居眠りをしては
罰を受けることを繰り返す俺なんか
周りからしてみれば、真千先生も言っていた通り
どうしようもない奴ぐらいにしか
思われてないだろうと思っていた。
だが、まさか代わって罰を受けようとする
人がいるなんて想像もつかなかった。
「え、俺に代わって、
菊池さんが罰を受けようと・・・なんでだよ?
講習中に一番前の席で寝る俺が悪いのに、
どうして菊池さんがそれを代わりに
受ける必要があるんだよ。
どうしてそこまでしてくれるの?」
菊池は太郎の目をまっすぐに見つめて
「すごいなとも思ってたんだ。」
「すごい?」
「だっていつもあのハリセンに耐えて
丸椅子の上で立ってるんだよ。
並大抵の精神力じゃ無理だよ、そんなの。」
「そ・・そうなのかな・・・」
「うん。それに寝ていられるの数分だけでさ。
罰が割にあってないよ。
だから佐藤に少しでも寝させてあげたかったのと、
私もあの罰を受けてみようと思って。
これでも私サーフィンやってて
丸椅子で立つの特訓になりそうだし。」
「さ・・さようですか・・・」
菊池さんはすごいお人好しなのか・・・
罰をサーフィンの特訓と捉える意識高い系なのか・・・
俺同様にただのおバカさんなのか・・・
混乱しているが、確かなことは
面白い子であることに違いないということだ。




