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第二十六話 「暗黙のルール」
夏期講習で俺が
居眠りに入ってしまう度に
授業を中断して叱っている
時間がもったいないと、
廊下には丸椅子が常時設置された。
俺のみ、肩を三回叩かれたら
「廊下行き」という暗黙のサインが
真千先生との間で生まれた。
正直気持ちよく寝ている際に
肩を三回叩かれただけでは
起きるのは至難の業である。
よって三回肩を叩いても起きない、
もしくは廊下に向かわない場合は
真千先生特製のハリセンで一発
頭をたたかれることとなっている。
暴力はんたーい!!
無論孝也、駿、八千草の三人はそのことを知っている。
いつも俺が三回の肩たたき
によるサインに気付かず、
ハリセンで叩かれるのを楽しみにしていることが
「今日の講習ヘルメットかぶっていったら?」
という発言から手に取るようにくみ取れる。
そんなことをしてみろ。
真千先生という火に油を注ぐだけだ。