第二百九十話 「最高の朝を迎えた矢先に」
ホーホケキョ
これはウグイスのさえずり
なんていい朝だ。
鳥の鳴く音で朝を迎えられるなんて!!
両手を伸ばして起き上がろうとする太郎だったが、
あれ?
なんか足が少し重たい気が・・・・
あ!?
八千草さん!!??
八千草はまだ太郎の膝の上で寝ていた。
しかも
しかも
顔が・・・・いや鼻が・・・
俺のお腹に・・・ひっついて
るーーーーーーーー!!!!!
昨夜のことを一瞬にして思い出した太郎だった。
どうしたものか・・・
ここはリビング
きっと家族の人も来る。
この姿を見られたら俺の命がない。
そっと起こそうか。
太郎は誰かに見つかる前に八千草をそっと起こそうと
しようとしたときだった。
お手伝いの流川がリビングにやってきて
その光景を目撃する。
太郎は
「あ、おはようございます!
これは、その・・・」
「太郎とやら、何も申す出ない!!」
「え?いや、その」
「この流川心底見損なったぞ」
「いや、だからこれは」
「問答無用!!!」
お手伝いのおじさまこと流川が持っていた
ほうきでソファーの前にあるテーブルを乗り越えて
太郎に斬りかかる。
この瞬間、流川の問答無用の声に
八千草は目を覚ます。
「うん、何か変な声が?」
やばい、このままでは咲苗お嬢様に・・・
やべっ、八千草さんが・・・
起き上がった八千草をとっさに両手で
自分の身体に引き寄せて覆った太郎に
流川の渾身のほうき斬撃が炸裂する。
バチーーン!!!!
ものすごい音が部屋中に鳴り響く。
この音に起きてきた美悠と美名城。
そして救護室で休んでいた鳳凰院もリビングに集まった。
美悠が
「一体何事?流川何があったの?」
「それが、お嬢様、この太郎という不届き者が
咲苗お嬢を襲おうとしていた・・・」
「タロちゃんが咲苗ちゃんを襲おうとしていたって
流川本心で言っているの?」
「いえ、そう私が思い込んで
このほうきで一発撃ち込んだところです。」
美名城が
「タロちゃん、大丈夫??」
と声をかけると
八千草を覆った身体を起こして
「はい、流川さんがとっさにかわしていただいたおかげで
当たっていませんので。」
それを聞いてホッとする美悠と美名城
すると太郎は
「それより八千草さん大丈夫?」
驚いた八千草は
「あ、うん!私は大丈夫。」
「良かった~~!!
いや~ほんと
誤解を生むような姿を見せてしまい申し訳ありませんでした。
では、私はこれ以上いると
お邪魔になると思いますのでこれで失礼します。」
太郎はそう言って八千草家を後にした。
美悠は流川に
「ちょっと話があるのでいいですか?」
と言って別室へと呼び寄せた。
美名城は鳳凰院に
「調子はどう?痛くない?」
「うん、おかげさまで大丈夫みたい。
ありがとね!!」
鳳凰院に笑顔が戻った。