第二百八十話 「救助の第一段階を突破する激しい攻防戦」
気付けば辺りは暗くなっていた。
暗くなることで炎の光りが栄えていく。
消防隊は生徒会のシールドによって救助に難航していた。
「なんだこれは?一体どうなっている!?」
一方美名城は
既に校舎内に入っていた。
「あかねちゃん!あかねちゃん!!」
ある時の高坂との会話を思い出していた。
「私、鳳凰院先輩も好きですけど
美名城先輩のことも大好きです。
誰にでも私なんかにも分け隔てなく接してくれて
本当に心から尊敬しています。」
「そんなによいしょしても何も出てこないわよ!!」
「よいしょなんかじゃありません。
最近鳳凰院先輩の様子がおかしくて。
私自身どうすればいいんでしょう。」
「じゃあ、私が妹分として引き取ってあげるわ。」
「ええ、ほんとですか??
すごい嬉しいです!!
よろしくお願いします!!!」
高坂の笑顔いっぱいの姿が
美名城には鮮明に残っていた。
ごめんね、私なんかの妹分にしちゃったばっかりに・・・
絶対に死なせないわよ。あかねちゃん生き延びて・・・お願い!!
もう少しで、放送室・・・
透華はシールドを張っているはず!!
この後駿君と翔君が合流することになってるけど、
もし二人が来れなかったとしても、命に代えて突破するしかない。
放送室のある三階にまで登った美名城だった。
「・・・え」
肇率いる生徒会vs八千草美悠率いる救助隊
のバーチャルバトルが始まろうとしていた。
「美悠さん、あなたがいくらバーランSの実力者だとしても
勾玉の力なくして私たちAの三人を一人で相手できるとでも?」
「私は一人じゃないわ。それに勝てなくてもいいのよ!」
「何?」
「今よ!!」
美悠の合図に一気に死角から生徒会の後方の扉を目指した駿と翔
「くそっ」
肇は美悠と
豪と杏沙は救助隊のバーランBの
三人の生徒を相手にしていたため、
風のように速く駆ける駿と翔を止める術も
反応の早さも一歩二歩遅れる形となる。
八千草美悠たちの作戦通り。
「いい、おそらく
私たちがあかねちゃんの救助に向かうことは
読んでいるはずよ。
だからきっと生徒会メンバーの誰かが待ち構えてる。
そうなった時、あなたたち二人の力が必要よ。
まずは素早く扉を開けて突破すること。
これが救助の第一段階よ。」
「よしっ!これで行ける!!」
駿と翔が扉を開けようとした瞬間、
何かに見えない物体にぶつかる。
「もしかして?」
美悠が心配すると
「さすがです美悠さん。その作戦には驚かされました。
こんなに足の速い生徒がいたなんて・・・
ただ、万が一にも相手は八千草美悠。
もちろん扉にはシールドを張らせていただきましたけどね。」
「肇くん、あなたはそこまでして・・・」
何とか突破しようとするものの
肇のシールドによって扉の取っ手に触れることすらできない。
無論駿と翔にシールドを破る術もなく、火の粉を交しながら
体当たりしてシールドを突き破ろうとしていた。
「そんな体当たりごときで私のシールドを破ろうとは
醜い坊やたちだ。どうしますか?美悠さん。
これで作が尽きたわけではないですよね。」
勾玉の力を得ている肇とはほぼ互角になってしまう八千草美悠
このままだとあかねちゃんが・・・・
駿と翔が
「くそーー!!」と叫びながら全身全霊で体当たりした
その瞬間、二人は勢いよく弾き飛ぶ。