表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
咲かせたのは君  作者: バルたん
第二章 現れるべくして現れる
282/301

第二百七十四話 「一刻を争う事態」

キーンコーンカーンコーン♪



お昼休みは終わり

ドキドキした状態で授業に参加する生徒たち。


太郎が保健室に行ったっきり戻ってきていないことに

気付いていた孝也らだったが、太郎のことだからと

あまり気にとめていなかった。無論、駿もである。




一刻一刻と


その瞬間は訪れようとしていた。





「訓練 訓練 

・・・・から火災が発生しました。みなさん、落ち着いて

グラウンドへ避難してください。繰り返します。

・・・・で火災が発生しました。生徒のみなさんは落ち着いて

グラウンドへ避難してください。」



避難訓練の放送が入った。


しかし、何かがおかしい。


火災が起きた場所だけマイクの音声が不具合を起こして

明確に伝えられていなかったからである。

火災場所によって逃げるルートも異なってくるにも関わらずである。


だが、そんな矛盾も多くの生徒は深くは気にしていなかった。

なぜなら、これはあくまで訓練。

実際に火災は起きていないからである。


みんながゆっくりと歩きながらグラウンドを目指していく。


すると生徒のみんなは


「バコーン」

黒い煙とともに火の手があがる理科室。


生徒たち全員が予期せぬ事態に驚き、腰を抜かしてしまう者もいた。


一階の給食室からも

「ドカーン」

という爆発音とともに火の手が上がる。


火元は

一カ所だけではなく二カ所からの火災となった。


先ほどまでゆっくりと落ち着いて避難していた生徒たちから

落ち着きは消え、悲鳴が響き渡り、グラウンドへと勢いよく駆け込んでいく。



放送では

「落ち着いて行動してください!!」と

訴えかけていたが、それは誰の耳にも届いていない。



火の手は次から次の教室へと燃え移っていく。


孝也らも急いでグラウンドへと駆けていた。

その時、駿と八千草美悠は

これは生徒会の仕業かもしれないと感じていた。

しかし、今は一刻を争うとき。

押し寄せる生徒の群れに押されてグラウンドへと

避難に向かっていた。


放送もなくなり、

みんながグラウンドへと

避難することができた。


生徒によっては火の粉が降りかかり

火傷を負った者、後ろから押されて転んでしまった者

驚いて腰を抜かしてしまった者など負傷者も数人出ていた。



避難訓練、ではなくリアルな火災避難となった。



海満の校舎が大きな火の波によって

目の前で燃えていく。


ぐっと拳を強く握りしめる生徒

涙を流す生徒

悲鳴を上げる生徒

目の前で海満が燃えて消えていく

これまでの学校生活が消えていく


お願いだから

お願いだから早く来て!!


消防車の到着を今か今かと待つ先生と生徒たち。


生き延びたと誰もが思ったその時、

なくなっていた放送が入る。



「一人の男子生徒が一階の玄関前で倒れています。

誰か助けてください!!」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ