第二百七十二話 「水面下での推測と対応」
「美悠、ちょっと話があるんだけど・・・」
美名城はそう言って廊下から場所を移して話を始める。
「きっと美悠なら透華が言っていたことははったりじゃないってこと。
今週のどこかで何らかの予期せぬことが起きると言うことを」
「肝に銘じておいた方がいいわね」
美名城が言わんとしていることを察する美悠は
「そうね」
「今ちょうど同じことを考えていたところよ。
夏帆は何をするのか聞いてないの?」
「うん、当日の直前で生徒会メンバーには伝えるって。」
「そうなのね。
ということは他の生徒会に聞いてもしょうがないわね。」
「うん。ただ、私たち生徒会が招集された時に、
透華の表情は何だか自信に満ちている感じだったわ。」
「となると、かなり大きなバーチャル空間を実行する可能性があるわね。」
「そうなの。」
会長の鳳凰院透華が発した重大発表について警戒を募らせる二人。
すると美名城は
「それでね、一つだけ気がかりなことがあって、
前回生徒会が生徒会室に集められたあかねちゃんの様子が見えなかったの!」
「あかねちゃんだけ?」
鳳凰院が生徒会メンバーを生徒会室に招集させた時のことである。
肇が重大発表の大まかな内容を説明し、
「今回我々は転換期を迎えています。
なので詳細はまた当日の直前にお伝えします。
それでは解散!」
「はい、質問です。」
「何でしょう?」
「あかねちゃんが呼ばれていないみたいだけど、
それはどうして?」
「高坂はただいま生徒会では
厳重注意扱いとなっており、
こうした諸会議への参加はご遠慮いただいております。」
「いや、私は透華に聞いてるのよ。」
「ですから」
「肇、いいわ」
「しかし、、」
「あかねちゃんを呼ばなかった理由は
肇が言ったとおりよ。
それにね、
いずれ分かることになることだわ!」
「何を考えているの?あかねちゃんはあなたにも
生徒会にも何もしていないはずよ!!」
「だからよ。
害もなければ利益もない。
生徒会は海満の要
時として残忍でなければ守れないものもある。
ただ彼女は自分自身の力を使わないどころか
最後は指示にも従わなかった。
そんなハートの弱気者を
生徒会の一員として認めた覚えはなくってよ。」
「透華・・・・
あなたはいつから・・・・・」
生徒会室での一部始終を知った美悠は
「おそらくあかねちゃんは危ないわね。」
美名城は二度頷いて
「あかねちゃんは生徒会を実質外されている今、
唯一生徒会のやり方を知っている生徒になるからね。」
「口封じに出る恐れがあるってことよね?」
「ええ、もしかするとこの重大発表も
その口封じを何らかの事故に見せかける為とか・・・
さすがに考え過ぎね。」
「夏帆も透華とは一度ぶつかっているわけだから気をつけてね。」
「うん、ありがとう!」
「あかねちゃんはこっちで様子を見ておくから
夏帆も透華に気をつけてまた何か情報が分かったら教えてちょうだい。」
「うん。生徒会も海外遠征に行って少しは変わるかと思えば
体質はあの時から何も変わっていない。協力感謝するわ。」
「いいのよ、私たちの仲でしょ。今週無事に乗り越えましょう。」
そう言って夏帆と美悠による水面下での推測と対応は進められていた。
そして、その推測はことごとく当たる・・・・
いや、
遥か上を越えていくものとなる。