第二百七十一話 「重大発表の中身」
会長が語ろうとする重大発表
誰もが目を凝らし、耳を澄ませて
一字一句聞きのがさまいと前のめりの姿勢となる。
一人を除いて・・・
「いいですか、みなさん。
我が海満高校は西の國山高校と同じくして
日本のバーチャル教育の中枢を
担う場としてここまでやってきました。
けれども、
国からの指示を犬同然にハイハイと
言うことを聞いているだけでは
日本のバーチャル教育に未来はないと
この半年間の外国のバーチャル教育を視察してきて
生徒会一同強く実感致しましたわ。
そこで私たち生徒会が創り上げてきた
勾玉によるバーチャル空間をもとに
日本の、いえ、世界のバーチャル教育の中枢として
担っていきたいと考えておりますの。」
パチパチパチ
盛大な拍手が一斉に響き渡り、
鳳凰院が拍手を制止させる。
「ですが、みなさん、
こう言った話には根掘り葉掘りと
よからぬ噂がつきものですのよ。
先日の海満東のような輩たちが
今後も湧いて出るようなことがあってはいけませんの。
みなさんには一日も早く海満の一生徒として強いバーチャリズムを
習得していただき、どんな危機にも対処できるようになってもらい。
ですから、今週のどこかで私たち生徒会が
気高く美しい勾玉をもとに完成させた
バーチャル空間の力を存分にみなさんにお見せしたいと思いますわ。
いいですか、今週はみなさん、
気を緩めず過ごしてくださいまし。
以上で生徒会からの重大発表を終わります。」
この時、生徒会長 鳳凰院透華が発した
重大発表の重大さを認識できていたのは、
実質生徒会メンバーのみであった。
波紋を呼ぶ形となった今回の重大発表。
皆の関心は今週一体どういった形で生徒会の
バーチャル空間の力が示されるかということだった。
期待する生徒が多数いる中、
八千草美悠は百八十度違うシナリオを想定する。
このタイミングで生徒会が力を発揮するということは
必ず何かこのタイミングでないといけない理由があるはず。
それに一体どんなことをしようとしているのかしら。
透華の考えることだから、
きっとみんなが期待しているようなものではないはず。
あ!?
美悠の前に夏帆が現れる。