第二百七十話 「生徒会会長・副会長の挨拶」
「生徒会からの招集とは気が進まんのう。」
「ああ、ほんとにな。」
孝也と太郎の考えが珍しく合っていることに
驚く駿だったが、ある予感を感じていた。
もしかしたら、この二人、少しずつだけど
息が合ってきている?
「相変わらず何ニヤニヤしてんだ駿!?」
「ああ、ごめんごめん。つい・・・」
「よく分からんが、駿は変わってるよほんと。」
太郎の変わり者発言に
いやいやいや、タロちゃんにだけは言われたくないね(笑)
体育館に全生徒が集められた。
招集の目的は
生徒会の会長・副会長の紹介と重大発表があるとのことだ。
肇の進行で
生徒会長の鳳凰院が
壇上の前へと進んでいく。
「みさなん、ご機嫌よう♪」
「ご機嫌よう!!」
太郎はこの挨拶に目を丸くして驚いている。
駿は太郎の心の中を呼んでいた。
なんだ!なんだ、このお嬢様感を前面に出した挨拶は。
しかもみんな普通に返事として挨拶してるし。
ここ、お嬢様学校だっけ?
違うよな!!
「でも、タロちゃん、
ここは前に八千草先輩が言っていたように
バーチャルで有名な学校だから自然とお嬢様は集まりやすいかもよ?」
「そうなのか~、確かにそれは一理あるな・・・・
って駿、お前また!!」
さらに驚く太郎。
そんな驚く太郎が目に入った鳳凰院は
「えーと、
今日は例年の行われている会長と副会長の紹介と重大発表をします。
きっと皆さんは驚かれることと思いますが・・・って
まだ何も言ってないでしょ、そこー!!」
「え?俺?」
「そうよ、あなたよ!!」
「会長さん・・・」
「何よ?」
「ご機嫌よう?」
太郎のこの挨拶に
「あ、あらま、私としたことが、
そこの坊やに気を取られてしまっていたわ。
改めて皆さんご機嫌よう♪」
太郎の無意識に注目を引き寄せる能力には
さすがの駿も驚かずをえないでいた。
まさか、会長の目にも止まるとは、
タロちゃんってやっぱり不思議だ。
「えー、では、まず生徒会副会長が
三年、月嶌葵です。」
「え?月嶌葵??」
「うん、どうした駿?」
駿だけではない。孝也、菊池、八千草と
美名城の元彼と知っているだけに
初めてその顔を目撃した。
「えー、副会長の月嶌葵です。
海満高校のみなさんがより誇り高く
海満高校出身だと名乗れるよう
会長とともに学校運営に力を入れていきたいと思います。
よろしくお願いします。」
盛大な拍手で葵は副会長として認められる。
声を聞いた孝也らはあの時、
美名城先輩と図書室で話をしていた相手が葵だと悟った。
挨拶の様子を見ていた太郎は
誇り高くね~~、学校運営も生徒会はやるのか。
以外と大変なんだな~
「それでは続いて生徒会長の紹介をします。
生徒会長は、そう、私、鳳凰院透華です。
みなさんは恵まれています。
ここ海満こそ最高で最強の高校で
あることはまぎれもない事実です!
いずれその誇りを実感できる時をここで約束しましょう。」
パチパチパチパチ!!!
「きゃー、会長かっこいいー!!」
声援まで出るほど会長として認められている鳳凰院を眺めながら
太郎は大きなあくびをしていた。
やべー、こういう退屈な話は苦手なんだよな・・・・
しかも、真千先生が近くにいない分、
睡魔がいつも以上に勢いよく襲ってきやがる・・・
「えー、ではこれからお待ちかね、
重大発表を生徒会長である私からさせていただきます。」