第二百六十六話 「生徒会の実態と目論見」
「孝也君は本当に察しがいいのね。
そうね、肇君が使ったあれは
バーチャルスキルの一つであるわね。」
孝也の見解が正しいことを美悠は認めると
菊池は
「え?じゃあ、バーチャルスキルでそのシールドっていうのを
やったら誰も通れなくなくできちゃったりするってことですか??」
「そうね。できるわ。
ただ、そのシールドにしても誰でもできるわけじゃないの。」
「え?」
「バーチャルスキル一つ一つは
これまでのバーチャル教育の礎があって成り立っているものなの。」
「バーチャル教育?」
「うん。
例えば、物の大きさや長さなんかは言葉で説明するよりも
実際に持って、計って見た方が実感できるでしょ。
そういった根本的な部分で『生きた学び』を推奨していくために
バーチャル教育は数年も前から始まってね。
でも、そのバーチャル教育の効果は
世界でも前例がないことから、
ここ東の海満高校
西の國山高校が推奨校として
選ばれて、国から多額の援助金を受けて
今ではバーチャル教育の心臓部となってるの。」
「そうだったんだ~~
知らなかった~~・・・」
とそんな高校とは露知らず入学していた海馬組メンバーたち。
「知らないのも無理ないわ。
バーチャル教育の効果が
はっきりと分かってきたのはそう昔ではないから。」
「それで、バーチャルスキルが誰にでも使えるってわけじゃないっていうのは?」
「ああ、そうだったわね。
バーチャル教育の中にはあくまで
バーチャルでの教材があるだけなんだけど、
肇君が使ったシールドは
バーチャル教育の教材をさらに発展させたものになるの。
教材を発展させるにはプログラミングしていくバーチャルスキルと
誰にでも少なからずは宿っているバーチャリアリズム、
つまり現実をバーチャルに
バーチャルを現実化させる力が必要になる。」
「バーチャリアリズムは誰にでも宿っているんですか?」
「ええ、誰にでも宿っているわ。
ただ、その力の大きさは
人によって違っていて、この中だったら
生徒会にハッキングをかけた孝也君が一番強いわね。」
「俺が・・・一番なんですか?」
「ええ。
バーチャリアリズムは一人ひとり宿す力の大きさも違えば
宿る気配、つまり扱える能力も変わってくるの。
ただ私から言えることは
生徒会メンバーは孝也君も含めてあなたたちより遥かに強い
いわゆるバーチャリアリズムの巨大な力を宿した精鋭部隊よ。」
それを聞いた孝也は将軍として嬉しくもあり、
「そこまで強いのか~~」
と生徒会の存在を認めたくない面もあった。
菊池は
「もう色々な新しい情報聞き過ぎて
整理しきれてないんですけど、
じゃあ、海満東の人たちに
私たちの生徒会の人は一体何をしたんですか?」
「菊池さん、いい質問ね。
さっき言ったシールドにしても
発展させたものといえば聞こえはいいけど、
普通にやろうとしてできることじゃないし、
それは法律でも許されていない行為とされているの。
それにも関わらず今の生徒会メンバーは
これまで国の多額の援助を受けて培ってきた
先輩たちのバーチャルスキルとノウハウを駆使して
独自のバーチャル世界を作り出そうとしているのよ。」
「独自のバーチャル世界??」
「そう。
バーチャル世界を完成させるためには
他校にも一つずつ配布された
バーチャル教育の心臓とも言われている勾玉を集めて、
融合させることでその世界(空間)の力は大きくなっていく。
それに気付いた生徒会長は
生徒会という精鋭部隊をより強化させて
バーチャルのスキルを駆使し、海満東も含めた多くの学校を
ハッキングも含めて攻撃したの。
その結果数え切れない多くの勾玉を手に入れたのよ。」