第二百六十一話 「予期せぬ来訪者」
海馬組としては一度休戦という形をとり、
海外遠征から帰ってくる生徒会メンバーの実態解明は
スタートラインに立ったところで終わってしまった。
それから一週間が経ち
いよいよ闇に包まれた
生徒会メンバーが帰ってくる日がやってきた。
「なんか騒々しいな・・・」
「それはタロちゃん、
今日あの生徒会が帰ってくる日だかだらだよ。」
「なるほどね。
生徒会なんて地味なイメージだけど
ここでは有名人なんだな。」
太郎のこの一言に
駿がすかさず
「タロちゃんしっーー!
ダメだよ、地味とか言ったらそれこそ生徒会からどんな罰があるか・・・」
「すみません」
そわそわ・・・
ざわざわ・・・
校舎の外を眺めていた生徒たちがざわつき始める。
「うん?なんだなんだ?」
太郎と駿も外の校舎入り口に目をやると
海満のではない制服を身につける
男女の生徒が六人ほど立っていた。
「あれが、海外遠征に行ってた
生徒会のメンバーか?」
「いや~、なんか違うような気もするけど」
すると美名城と高坂、そして一人の男子三人が
六人の前へと歩み寄る。
高坂が
「ここは私に!」
と前に出ようとすると美名城が手で制止した。
「うちに何か用でしょうか?」
「美名城先輩が口火切ったー!!
あ、どうも、お久しぶりです。
こちら実況生中継しております太郎と駿です。
さぁ、この後相手方はどうでるか?」
「今日どうやらあんたらの生徒会さんが
アメリカから帰ってくるらしいじゃない?」
「そうですね。」
「ということは、海満から受けたこの恨みは
今が復讐するのに絶好のチャンス。
あいつらが帰ってくる前に叩き落として
悲惨な状態にしといてあげないとね。」
「こちら実況席。
とても恐ろしい言葉が出てきました。
一体あの人たちの恨みや復讐はいかほどのものなのか?
そして生徒会はアメリカに行っていたんですね。」
「タロちゃん、これほんとにやばくない?」
相手の表情をを見て恐怖を感じる駿に
「駿、ここからが見物だろ!」
となぜか興味津々の太郎。
美名城は
「どういった恨みをお持ちかは知りませんが、
どうかそのお気持ち静めてはもらえませんか?」
「無理よ。あんた何言ってるの?
そんな慰めで私たちの怒りが収まると思ってるの?」
「すみません。お願いします。どうかここは引いていただいて・・・」
「ふざけないで。謝るくらいならあれを返しなさいよ。
あなたたちが私たちから奪ったのよ。
そのことあなたも知ってるんじゃないの、美名城夏帆!!」
「おーーーと、これは新たな展開です。こちら実況席です。
我々、いやおそらく生徒会?があの人たちから何らかのものを
奪ったということらしいです。何かは知りませんが人の物を奪うなんて
よくありませんよね、駿くん!」
「そうですね。
しかもあの人たちは美名城先輩のことを知っていた。
ただ違和感を感じるんです。」
「と言いますと?」
「あの美名城先輩がここまで下手に出るなんて!」
それは駿だけでなく太郎も同じことを感じていた。
それだけ美名城先輩には罪の意識がある?
「はい、知っています。ですが私にはそれを返せるだけの力が・・・」
「力がないって言うなら、私たちにしているみたいに
説得しなさいよ、この悪魔染みた生徒会のやつらを!!」
「はい、そうさせてもらいます。
ですので、是非この場は一度落ち着いて・・・」
と美名城が説得を続けていると
タクシーが次々と学校前に停まった。