第二百五十六話 「恋敵は海満の女子全員の可能性大」
「んふふふ!!
それでタロちゃんが一番下の平民なんだ。」
「は、はい」
「んふふふふ、タロちゃんの平民可愛い♪」
「あ、ありがとうございます・・・」
この手の話に八千草姉さんの反応は上々だった。
ホッとする太郎だが、
平民可愛いには腑に落ちずにいた。
「将軍の孝也君は自分で将軍と言うだけあって
人を見る目があるんだね!」
「いや~、まったくそう感じたことはありませんが・・・」
どうやら八千草姉さんの中で
俺の平民は良くも悪くも合致したらしい。
「それにしても早苗ちゃんの
侍嫁見習いってのは驚いたわ!んふふふ♪」
「侍の駿っていうのが
姉さんもご存じだとは思いますが、
才色兼備のイケメン野郎ですからね。」
「駿君って体育祭でMVPとった子だよね?」
「はい!」
「その駿君の嫁見習いか~。早苗ちゃんのライバルはいるの?」
ライバル?
ライバルと呼べるかは分からないがそもそも
海馬組には女子は二人しかいないから必然的に
「そうですね~、もう一人菊池華さんが仲間にいますが、
先ほどもお伝えした通り駿(侍)の一番弟子です。
ライバルには一番近いかもしれません。」
「あら、華ちゃんね♪あの子もとても可愛かったから
咲苗ちゃんもうかうかしてられないわね。」
「はは、そうですね!」
駿の場合は、海馬組のメンバーに限らず
おそらく海満の女子たち全員恋敵くらいに
考えるのが自然の通りかもしれないな。
しかも、その恋敵の中には、
あの美名城先輩も・・・・
「タロちゃんにはいないの?」
「え、俺にですか?」
「そう、女の子の影とか、
気になる女の子とか・・・・」
「あははは、冗談はやめてください。
俺はあくまで平民ですから浮いた話は
これまでも、これからも難しいでしょうね。」
「そんなことないわよ。少なくとも私は
タロちゃんのこと気になってるよ?」
「姉さん、からかわないでください・・・」
俺と駿では月と鼈
それは八千草姉さんもご存じのはず。
これはまた完全に手のひらで転がされていると思う太郎。
一方で
からかってるわけではないのに~と思う八千八千草美悠。
「それじゃあ、立ち話も何ですから、
部屋を換えてお話しましょ♪」
「はい」
いよいよか。
八千草さんが隣にいないのは心細い気もするけど
ここまで来たからには聞くしかない。
あの時言っていた「帰ってくる彼ら」のことを。
いざ参らん!!