第二百五十四話 「庭園を一から考えたお方」
この話から文字数を若干増やして投稿していきます。
「美悠が何ですって?」
「これは、美悠お嬢様!!」
庭園の中から突然出てきた
八千草美悠。
「タロちゃん、いらっしゃい♪」
「先日はお世話になりました」
「いいのよ。今日は私に話があるって?」
「あ、はい」
「タロちゃんと咲苗ちゃんからどんな話があるのか楽しみだわ。」
「あはは」
楽しみって話違くないかーー。
下手したら嫌な顔されるかもしれない話だっていうのに。
「美悠お嬢様!!突然出てこられては
この流川、驚いて、驚いてぶっ倒れてしまいます!!」
「あら、そう?
私が知っている流川さんはどんな事態にも動じない
クールで凜々しいジェントルマンですけど。」
八千草美悠の一言に
おじさま、いやいや、流川さんの背筋がピンとした。
八千草美悠は続けて
「そういえば、先ほど私の名を呼びませんでした?」
「はい、こちらの青年が先ほどこの庭園を観て感銘を
受けておりましたので美悠お嬢様が聞いたらお喜びになると申しました。」
「あら、そういうことだったのね。」
太郎は首を大きく縦に振って頷く。
すると流川は
「この庭園の作りは全て
美悠お嬢様が考えられたものです。」
「え?そうなんですか?!
美悠お嬢様が一人で!?」
「ちょっと、タロちゃん、お嬢様はやめてー」
「何をおっしゃいます美悠お嬢様!!
日々の手入れは私、流川が整えておりますが、
休日などは一緒に美悠お嬢様が手入れを進んでやってくださいます。」
「そうなんですね。」
美名城先輩の時もそうだったが、
三大美女と呼ばれる人たちはみんな
容姿だけじゃなく、心もきれいってことか。
この立派な庭園を一人で・・・
そういえば黄組のパフォーマンスもお姉さんが・・・
本当にすごい人なんだ!!
俺みたいな平民ごときとは何もかも大違いだな。
「良かった!!」
「え?」
八千草美悠は笑顔で太郎を見つめて
「私が大好きなこの庭園のこと
タロちゃんが気に入ってくれて♪」
こ、こ、これは
早々に八千草マジックにやられそうだー!!!
太郎は、八千草マジックによって
庭園から既に理性を失いそうになりながら
八千草邸の中へと招かれていった。