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第二百五十三話 「八千草家のお手伝いさん」
「そういえば名乗るのを忘れておりましたね。
八千草家でお手伝いをしています
流川義健
と申します。」
「どうも」
初めて生で見るお手伝いさん。
学校にも事務の坂本さんはいるが、
どうも俺と同じように
保健室とかでサボっている・・・
いやいや、休んでいるイメージなんだよな。
お手伝いの流川さんだったか。
この人かなりのやり手だ。
通り道に落ち葉はおろか、砂利一つ落ちてない。
完全にプロの手が行き届いた庭園。
やはりさっき聞こえてきた水の流れる音は水琴窟だったか。
門をくぐってから明らかに空気のよどみが変わった。
身も心も浄化されていくようだ。
「どうされましたか?」
「あ、いや、その立派な庭園だなと思って」
「ありがとうございます!」
「何だか別の国に来たみたいです。」
「・・・・」
やばい、俺、何か変なこと言ったか!!
別の国っていうのはいい意味での表現で・・・
「はっはっはっはっ」
あれ?
笑ってる??
「それは、美悠お嬢様がお喜びになられるでしょうね。」
「美悠お嬢様が?」
どういうことだーー??