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第二百五十一話 「でっかい門と孝也並みの表札」
俺のような者にでも
中が豪邸なことは入らなくてもはっきりと分かる。
耳をすませば聞こえてくる
「 ジャーー コトンッ 」
静寂な世界に自然の深みを生み出す
これは日本庭園でよく見る水琴窟。
そして、
「 ホー ホケキョ 」
特訓の末に身につけた雄の求愛行動
そう、これはウグイスのさえずり。
あれ?
ウグイスってこの時期でもまだ鳴いているのか?
まぁ、それはいいとして
極めつけは
なんだ、この門の大きさ、
いや、でかさは!?
『八千草』と書かれた表札ですら
俺の頭より遥かにでかい・・・孝也くらいか?!
家に入る前から
改めて自分自身の身分が
平民であることを
実感させられた太郎だった。
八千草さんは、本当は
孝也が言っていたように
姫様なのかもしれない。
一応、俺が持っている服装の中で
一番のオシャレ、いや、気を遣ったつもりだが、
これは気を引き締めないと
気付かないうちに無礼でも働いたら
せっぷ・・・く
なんて、ありえないありえない。
この時代に切腹なんて・・・
ねぇ~・・・・
まさかね!?
太郎がすでに門構えの圧倒差に
踏み入れることをためらっていると、
突然
八千草家のでっかい門が開いた!!!