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第二百十二話 「カラフルなさま」
カラフルな旗を立てたカヌーが
次々と横一線に出てくる。
カヌーには一人ずつ乗っている。
砂浜から静止して映していた映像が
突然、動き出し、水面に沿ってカヌーへと近づいていく。
するとカヌーに乗っていた者たちが
勢いよく海へと飛び込んだ。
それに続いて映像は水中へと切り替わる。
水中では、夜空に見える星のように輝く数々の珊瑚と
流れ星のように軌跡を残して泳ぐ色鮮やかな魚
そして魚の群れに混じって泳ぐ人間。
海中でのカラフルな姿は
まるで共存しているみたいに見えていく。
水中を魚とともに泳いでいた者たちは
水面に上がってきて、乗っていたカヌーにつかまる。
カヌーから何かを取り出し、
海へと広げていく。
曲が流れ始める。
水面で映し出していた映像は
少しずつ上空へと上がっていく。
上がっていくにつれて
あの者たちが広げた正体が
露わになっていく。
そこには
「手を上げているヒト」
の海上絵が描かれていた。