第二百二話 「火を灯すパフォーマンス」
赤組は
先頭バッターでありながら
他の組に大きなプレッシャーを与えるパフォーマンスを見せた。
二年でありながら
赤組のリーダーを務めた高坂の統率力が申し分ないものだった。
それは青組スタンドから観ていた太郎も充分感じ取っていた。
実は
赤組のパフォーマンスはダンスだけに終わらなかった。
最後に「ロックソーラン」にあわせて
優勝と書かれた赤色の大きな球体を、
踊っていた者たちで綱で引っ張り出し、
グラウンド中央へと持ってきた。
その後、赤色の球体をリーダーのチョップで割り
火をイメージした赤い衣装をまとった
生徒が登場するという終わりだった。
おそらく
あの赤い球体は観る者たちの心であり、
そこから出てきた生徒こそ心に灯した火だったのだろう。
最後の最後まで力強い「赤」のイメージを最大限表現した赤組
パフォーマンスが終わると
高坂は赤組の仲間たちと
ハイタッチやハグをし、称え合った。
孝也は
「いや~、かっこよすぎる高坂先輩、
これが本番!!本物のパフォーマンス!!
俺が望んでいたパッションが燃えるような
そんなパフォーマンスを赤組はやってのけたんだ。」
駿も
「うん、ほんと、興奮した!!
観ているこっちも熱くなっちゃったね。」
初めてのパフォーマンス直前で
緊張していた二人の目にみなぎる火が灯り始めていた。