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第百九十四話 「ハート2」
駿
俺なんかが青組のみんなのバトンを受け継いで
アンカーを走る。そんな資格があるのか。
二人からは伝わってくる負けられないという強い想い。
俺は
仲間がつないでくれたこのバトンを
次につなぐわけでもなく、ただひたすらに全力で走る・・・だけ。
こだわりもない。だるさもない。疲れもない。何もない。
勝てるのだろうか?この二人に・・・
あ、タロちゃん・・・
駿は思い出していた。
100mでダントツ最下位でも
自分のことより、真っ先に
僕におめでとうと声をかけてくれた。
100m前もそうだ。自分が走ることは
まったく口にすることなく、
むしろ僕なんかの背中を押してくれていた。
タロちゃんは、いつだって、
他人のために行動していた。
僕もタロちゃんみたいにできるだろうか?
仲間のために・・・走る!
一番速く、みんなの元に行きたい。
ゴール間近
残り50mを切ったとき、
三人に異変が起こる。