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第百八十三話 「200mを制した一年」
「200m走最終組第一位は
赤組、柊木 翔です!!」
200m最終組を制した
この柊木 翔は駿と同じ一年生
部活はサッカー部に所属し、
レギュラー争いをするスーパールーキーである。
そしてこの体育祭にて
同じ赤組の高坂に
MVPをとったらということを条件に告白した
怖いもの知らずの男でもある(後ろ姿イケメン)。
いや、その括弧付きの後ろ姿イケメンは余計だろう。
柊木翔は
すぐさま放送席にいる高坂の元へと向かい
「約束忘れないでくださいね」
と伝えた。
高坂は翔の言葉に頷いてはいるが、
心ここにあらず。
それは翔自身にとっては
避けられていることと同等の感触だった。
青組のスタンドに戻った太郎は
日陰にてすっかりエネルギーを補給し、
なぜか周囲の盛り上がりにすっかり溶け込んでいた。
「どうした駿?
もっと全力で応援しようぜ!?」
「え、あ、うん!」
「その調子だぞ、タロ氏。
応援で後押しするのだ!!」
「おい、孝也、
腕の振りが遅れてるぞ!」
「お、おう!!」
菊池が
「どうしちゃったのタロちゃん?
すっかり元気になっちゃって♪」
八千草も
「ほんとだね、面白い!!」
青組スタンドに活気が出ていた。