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第百七十九話 「会釈をした人の名は」
高坂の度直球な一言に
駿が
「でもタロちゃんも最後まで走り切って」
と擁護しようとしたところ、
一人の生徒が
「私は太郎くんの走りが一番かっこよく見えたわよ」
と太郎を賞賛した。
高坂の表情が一変した。
太郎と駿は誰だか分かっていない。
太郎が
「え?あ、どうも です」と会釈をすると
その生徒はニコッと笑顔で会釈を返した。
高坂は口に手を当てて驚いている。
太郎が
「あの~どなたですか?」
と尋ねた。
すると
高坂は口に手を当てたまま
太郎を指さし
何かを言っている。
太郎は高坂の慌てようを見て
つい笑ってしまった。
高坂先輩は
一体何を訴えかけているんだ?
さっぱり分からない・・・
するとその一人の生徒が
「私は八千草 美悠です。
よろしくね、佐藤 太郎くん♪」
と名乗った。