第百七十八話 「変わるトーン」
放送席にいる高坂のところへ
駿を連れて戻る太郎
駿に気付いた高坂は
「一位、おめでとうございます!
速かったですね!!」
「ありがとうございます」
「帰宅部なんですよね?」
「はい」
「信じられないです。
帰宅部だけど運動部より足が速くて
スタイル良くてイケメンで。
どうしてこちらのカメさんと
友達なんですか。信じられない。」
「いや、それは~」
口ごもる駿をよそに
「色々と言ってくれますね。
しかも俺と話していたときと明らかにトーンが違う気が」
「やだ、そんなことないよ、もう。
って、太郎くんの走り、遅いにもほどがあるでしょ。
雰囲気出して行っただけに余計びっくりしちゃって。
あなたもある意味で最終組の快挙だったわよ。」
余計なお世話だといわんばかりの迷惑そうな
表情をする太郎を見て駿が
「実はタロちゃんは最初出場する予定じゃなかったんですよ」
「え、どういうこと?」
「本当は青組から一年の野球部で足が速い生徒がいたんですけど、
前日にけがしちゃって、それを聞いて一番出場種目が少なかった
タロちゃんに声がかかりまして」
「えーー、そうなの!?それでもあの足の速さだったら
最終組は無いでしょ、最終組は?」