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第百六十九話 「迷走していく葛藤」
高坂は一人葛藤していた。
「どうしてこんな状況で
そんなにも潔く気持ちよさそうに寝ることができるの。
どうしてあのとき、私の隣に来たの。
どうして美名城先輩はあなたのことを気遣うの。」
突然隣に来て、
突然居眠りを始めた
太郎への高坂の葛藤は、
少しずつ迷走をし始めていく。
指を丸めて望遠鏡をつくり、
太郎を眺めてみるが
「イケメン・・・ではないよね・・・・
えーと、スタイルも・・・細身ではあるけど
だからといって、並。
並中の並だ。
もしかして頭脳明晰・・・
には到底見えない。
この すーひーすーひー という
寝息がもはや知性に欠けている。気がする。」
どこにも
男として惹かれる
ポイントが見当たらない。
どころかすべてのパーツにおいて並。
なのにあの全てにおいて誰もが憧れるほどの
気高く美しい超、超、超高級スペックを持ち合わせる
美名城先輩がなぜこの並男子、タロちゃんを気にかけるの?
どうしてよ~!?