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第百六十八話 「呑気にもほどがある」
「タロ氏は相変わらずだな」
未だにざわついている体育祭まっただ中にいながら
放送席に居座り、居眠りをしている。
「ほんとよ、呑気すぎよ」
菊池は居眠りをしている太郎を呑気と
思う一方で、夏の講習の時を思い出していた。
あの時もタロちゃんは寝ていたよね。
私をかばうために・・・
もしかして
今も誰かをかばおうとしているの?
菊池はふと太郎があの時と同じように
何かを、誰かをかばおうとしているのではないか
という考えになっていた。
すると孝也が
「おいおい、見てみろあれ!」
孝也が慌てて指さした先では
肘をついて居眠りをする太郎に
高坂が少しずつ接近している光景が映っていた。